第10章 もし地震が来たら①屋内の場合
1. 台所で料理中だったら
台所で料理中に大きな揺れに見舞われた場合、最優先すべきは身の安全です。まずはテーブルの下など物が「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」場所に移動し、揺れが収まるのを待ちましょう。このとき無理に火を消しに行くと、冷蔵庫や食器棚の転倒、調理器具などの落下によってケガをしたり、熱湯や熱い油を浴びて大やけどを負ったりする危険性があります。大抵の家庭のガスメーターは震度5程度の揺れを感知すると自動的にガスの供給を止める仕様になっているため、消火をあせる必要はありません。火の始末は、揺れが収まってから行いましょう。万一出火したとしても、火が小さければ消火できるので、落ち着いて対応してください。
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消火よりも自分の身の安全を優先する
2. トイレやお風呂にいたら
トイレにいるときに地震が発生した場合、家具の転倒やガラスの飛散などで大きなケガをするリスクは低いと言えます。しかし、大きな揺れによってドアが変形してしまうと閉じ込められてしまう危険性があります。そのため、トイレで強い揺れに襲われたら、まずドアを開けて避難経路を確保することが大切です。
お風呂で揺れを感じた場合も同様にドアを開け、揺れが収まるのを待ちます。その際、鏡やタイルなどの飛散によるケガを防ぐため、洗面器や風呂桶をかぶって頭部を守ってください。揺れが収まったら、安全なスペースに移動しましょう。
3. 商業施設にいたら
デパートやスーパー、コンビニといった商業施設にいるときに大地震が起こった場合は、ショーケースや陳列棚から離れ、エレベーターホールや柱付近などに身を寄せます。その際、倒れた陳列棚の下敷きになったり、落下してきた商品によってケガをしたりする危険性があるので、必ずカバンなどで頭を保護すること。スーパーやコンビニの場合は、買い物かごをヘルメットのようにかぶるのも有効です。ただし、かごは頭にぴったりとつけず、少し浮かせて持ちましょう。
揺れが収まっても慌てて出口に向かうことは避け、従業員の指示に従って行動してください。停電になっても非常照明がつくようになっているので、むやみに動かないで待ちましょう。
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スーパーなどでは頭部を守るのにカゴも活用できる
4. エレベーターやエスカレーターに乗っていたら
エレベーターに乗っているときに地震が起こったら、すぐに全ての階のボタンを押し、最初に停まった階で降ります。もし、エレベーター内に閉じ込められた場合は、非常用呼び出しボタンやインターホンを使って外部に連絡してください。連絡がつかない場合は、エレベーター内に記載されているサービス会社または消防署に電話します。大地震時は同じようにエレベーター内に閉じ込められている人が多いと考えられるため、救助までには長い時間がかかることが想定できます。エレベーター内に水や食料、簡易トイレなどの防災用品が設置されているところも増えてきているので、慌てずに復旧・救助を待ちましょう。
また、エスカレーターに乗っているときに地震が起こると、急ブレーキがかかって転倒する可能性があります。普段から必ず手すりにつかまる習慣を付けておきましょう。
5. オフィスにいたら
大地震が発生すると、コピー機などのOA機器や机などが縦横無尽に移動し、巻き込まれると大けがをする危険性があります。また、大きな窓ガラスに囲まれたオフィスの場合は、窓を突き破って転落したり割れたガラスが頭部を直撃したりして、命を落とす可能性もあるので要注意。
カバンなどで頭を守りながら、物が「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」場所に移動し、できるだけ体勢を低くして揺れが収まるのを待ちます。キャビネットの転倒や頭上からの落下物に気をつけて、窓際よりもフロア中央、可能であれば廊下やエレベーターホール、会議室などの安全スペースに移動してください。
特に高層ビルは揺れる時間が長く、高層階ほど揺れが大きくなる傾向にあります。揺れを感じたらすぐに安全スペースに避難し、揺れが収まるのを待ちましょう。
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オフィスで大きな揺れが来たらすぐに安全な場所へ