TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:野口 晴彦、以下 TOPPAN)は、国立大学法人東京大学(所在地:東京都文京区、総長:藤井 輝夫、以下 東京大学)と2026年7月21日に共同研究契約書を締結し、9月より女性の健康リスク予測に関する共同研究(以下 本共同研究)を開始しました。
本共同研究では、更年期の女性一人ひとりの状態や体質に合わせて、将来的な疾患リスクをAIで個別に予測する「健康リスク予測モデル」の開発と、その実用化に向けた検証を行います。
本共同研究にあたっては、東京大学 医学部附属病院(以下、東大病院) 女性外科(大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻産婦人科学講座)の原田 美由紀教授と共同で、TOPPANホールディングスが2022年4月より提供している医療情報分析・提供サービス「DATuM IDEA®(読み:デイタム イデア)」の約20,000例に及ぶリアルワールドデータ(RWD)(※1)を活用し、更年期の中でも特にホルモン量や体調が変動しやすい周閉経期(※2)における検査値の変化パターンを分析します。
TOPPANの自社サービスを活用したデータ提供や安全かつ高度なデータ解析技術、セキュアな情報管理体制と、東大病院の女性医療研究における高度な医学的知見を融合させることで、個人の状態に応じた個別化予防・医療の技術基盤確立を目指します。
共同研究の背景
近年、女性の社会活躍や高齢者の就業機会が拡大する中、更年期における健康課題や、ライフステージに応じたヘルスケア支援への注目が高まっています。
閉経前後の更年期は、ホルモン値や各種検査値等の生体指標が大きく変動することにより、将来的な生活習慣病や骨・心血管系疾患などの健康リスクが高まりやすく、その予防や低減に向けた対策が重要となる時期です。しかし、症状や検査値の変化には大きな個人差があり、従来のような一定の検査値を基準に、一律的に評価や予防を行う医療には限界がありました。
また、これまでの研究は限定的なコホート調査(※3)が主流でした。実際の診療に基づく大規模なリアルワールドデータ(RWD)を時系列で解析するようなアプローチは、安全なデータ利用環境の整備に加え、高度な解析技術と医学的知見が同時に求められるため導入が進んでいません。
TOPPANグループは、中期経営計画において「ヘルスケア」を戦略的注力事業として定めており、高度なデータ解析技術を活用した研究・事業基盤の強化、および個別化予防・医療を中心とした新規事業の創出を進めています。また、女性特有の温度リズムを自動計測できるヘルスケアIoTサービス「わたしの温度®」(※4)や関連サービスの提供など、女性の健康に特化したフェムケアにも力を入れています。
東大病院 女性外科は、女性の様々な体調変化や疾患に対する豊富な臨床実績に加え、先進的な医学研究基盤を擁し、女性のライフステージに応じたヘルスケアの社会実装に強みを持っています。
本共同研究では、TOPPANの自社サービスを活用したデータ提供や安全かつ高度なデータ解析技術・セキュアな情報管理体制と、東大病院が有する女性医療研究における高度な医学的知見を掛け合わせ、「健康リスク予測モデル」の開発と、更年期の女性一人ひとりの状態に合わせたヘルスケア支援の実現を目指します。
本共同研究の内容
1. 大規模なリアルワールドデータ(RWD)の解析によるデータ整備
「DATuM IDEA®」から得た約20,000例の匿名加工医療情報(※5)を、AIモデル開発に向けてデータ整備します。具体的には、周閉経期における女性のホルモン値や各種検査値、自覚症状といった様々なデータについて、AI技術を用いて分析や学習に適した形に整理・構造化し、データ同士の関係性や時系列での変化を捉えられるデータとして整備します。
2. 「健康リスク予測モデル」の開発と有効性検証
整備したデータをもとに、更年期の女性一人ひとりの状態や体質に合わせて、将来的な疾患リスクをAIで個別に予測する「健康リスク予測モデル」を開発します。時間経過に伴って変化する、女性の各種検査値やホルモン値などの生体指標から更年期以降の疾患リスクや予後の予測可能性と予測精度を評価し、AIモデルとしての有効性を検証します。
3. 医学的根拠の確立と研究成果の公開
東大病院の学術的な検証のもと、臨床医学の観点から「健康リスク予測モデル」の妥当性を厳密に評価します。信頼性の高い「個別化予防・医療」の医学的根拠を確立し、共同での論文作成や学会発表等を通じ、研究成果を公開していく予定です。
研究概要と2者の役割
| 題目 | リアルワールドデータ(RWD)を用いた周閉経期女性の生体指標変化の特徴探索と「健康リスク予測モデル」開発 |
| 期間 | 2028年3月まで |
| 目的 | 更年期の女性に向け、将来の病気のリスクや治療を開始する最適なタイミングなどを予測する「健康リスク予測モデル」を開発し、一人ひとりの体質や状態に合わせた予防や医療を行える基盤を確立。 |
| TOPPANの役割 | ・「DATuM IDEA®」によるデータの提供および安全な環境下でのデータ管理・解析 ・AI技術を用いた「健康リスク予測モデル」の開発と検証 ・解析結果に基づく、フェムケア等に関わる個別化予防・医療ソリューションの実用化や、システム実装に向けた検討 |
| 東大病院の役割 | ・研究デザインの全体設計、検証用データのデータセット抽出条件の策定 ・医学的臨床見地に基づくデータクリーニング、解析手法・方針の決定 ・解析結果に対する医学的解釈、「健康リスク予測モデル」の医学的検証・評価 ・学術的なアプローチを通じた共同での研究開発終了後の成果論文作成および学会発表 |
今後の目標
TOPPANは本研究で成果を得た後、開発した「健康リスク予測モデル」や蓄積したデータ解析ノウハウを、思春期から老年期までの全ライフステージにおける女性特有の健康課題へ、さらに男女問わず生活習慣病予防などの広範なヘルスケア領域へと応用し、全世代に対応する個別化予防・医療ソリューションとして社会実装することを目指します。
臨床試験(治験)以外の、日常の診療現場で得られる患者の健康状態や医療提供に関するデータ。
※2 周閉経期:
閉経の前後5年ずつの約10年間を指す「更年期」の中でも、「周閉経期」は特に閉経の直前と直後の数年間、女性ホルモンが激しく変動し体調や生理が大きく乱れやすい期間。
※3 コホート調査:
特定の共通点を持つ集団(コホート)を長期間にわたって追跡し、生活習慣や環境などの要因が、その後の病気の発症や健康状態の変化にどう影響するかを調べる調査方法。
※4 「わたしの温度®」:
専用のナイトブラにデバイスを装着して寝るだけで、就寝中の温度変化から女性特有の温度リズム(高温期・低温期の周期的な変化)を自動計測するサービス。体温計(医療機器)ではなく、疾病の診断、治療または予防に使用されることを目的とするものではありません。
※5 匿名加工医療情報:
特定の個人を識別することができないように医療情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該医療情報を復元することができないようにしたもの。
* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
以 上


