基本的な考え方

AIの活用がグローバルで日々進展する中、AIの誤った使用によって人権やプライバシーの侵害、差別や偏見の助長、公平性の欠如などが大きな課題となっています。
このような背景を踏まえ、TOPPANグループのPurpose(存在意義)である「Breathing life into culture, with technology and heart./人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」の実現に向けて、 人間が中心のAI活用を適切に管理、監督していくとともに、テクノロジーを探求し、AIを有効に活用していく必要があると考え、取締役会の承認を経てTOPPANグループAI倫理方針を制定しました。
この倫理方針は、総務省および経済産業省が策定した「AI事業者ガイドライン」をはじめ、より厳格な義務を課す「EU AI法」など世界各国の規制・指針を勘案しています。さらに、TOPPANグループがこれまで制定してきた行動指針、人権方針、情報セキュリティ基本方針、および品質基本方針に則り、AIの開発・提供・利用において遵守すべき事項を下記の7項目に定めています。

「TOPPANグループAI倫理方針」の構成

①
人間中心のAI活用
②
人権と公平性の尊重
③
プライバシーへの配慮
④
透明性とアカウンタビリティの追求
⑤
安全性の高いAIの提供
⑥
サステナブルな社会・経済への寄与
⑦
AI人財の育成

また、この倫理方針に基づき、責任あるAIの開発・提供・利用にあたり全社員が遵守すべき具体的なガイドラインを策定し、技術進化に伴い適宜更新しております。これにより、AIによってできること/できないことを明確にし、TOPPANグループ内だけではなくお客さまに提供するAIサービスおよびAI生成物を安心して使っていただけるよう最大限の説明責任を果たせるように品質の担保に努めています。

TOPPANグループAI倫理方針の基盤となる法律・指針等
米国コロラド州AI規制法・EU AI法・G7広島プロセス国際指針など海外法規制と、人間中心のAI社会原則・AI事業者ガイドラインなどの日本の指針、そこにTOPPANの行動指針、情報セキュリティ・人権・サービス品質の各基本方針を統合し、AI倫理方針を定めている。

体制

AIの開発・提供・利用の全社的な推進を図るため、2025年4月にAI CoE(Center of Excellence)として「全社AI推進室」を設置しました。
「TOPPANグループAI倫理方針」および各種ガイドラインに基づき適切な事業活動の管理、監督を実施するため、全社AI推進室が旗振り役となって各専門部門の見解を集約しています。これにより、全社的な統一性と多角的な視点を両立し、最新の技術やリスクに対して実効性の高いAI倫理/ガイドライン/戦略の運用維持および、浸透のための人財教育が可能な体制を整えています。
また、デジタルイノベーション本部内にAI技術の専任部門を組織し、デジタル技術によってプライバシー・セキュリティ・AIの説明可能性の確保および人間による介入/最終判断による安全性の確保ができるような仕組み(基盤)を整備することで、規約/ルールなどの個人のリテラシーにのみ依存してしまわないような実体のあるガバナンス整備を着実に進めています。

体制図
全社AI推進室が戦略の司令塔となり、ホールディングス各部門が実行・統制の主体、デジタルイノベーション本部が基盤の整備・提供、各BU・グループ会社が事業の価値創出を担うAIガバナンス体制を示している。

AI人財育成

TOPPANグループは、全社員を対象としたTOPPAN版生成AIチャットサービスの利用環境を構築し、2023年10月にサービス提供を開始しました。合わせて、AIを安全かつ効率的に活用するための、実践的なガイドラインの策定・周知を行うとともに、特にセキュリティ、倫理面でリスクが大きい生成AIについては基礎教育(eラーニング)を実施することで、全社員のAI活用リテラシーの向上を図っています。
さらに、AIガバナンスの社会実装に向け、実践的な課題を解決していくために設立されたAIガバナンス協会の会員としての活動を中心に、世の中の環境変化や技術革新の共通認識を深め、変化に応じてTOPPANグループAI倫理方針へ反映します。
こうした取り組みを通じて、誠実な企業として様々な社会課題解決に挑戦し、グローバル社会から尊敬される存在となるよう努めていきます。

責任あるAIの運用

急激に進化するAI関連技術の最新動向を捉え、AIモデル・サービスに関しては独自に作成したものを含めてベンチマークで評価し、TOPPANとして倫理・性能双方の面から使用するべきAIなのかを定期的に評価しています。その際、危険性が認められる機能は利用を禁止するとともに、機密性の高い機能へのアクセスは必要最小限の利用者に限定するなど、デジタル技術と運用ルールの双方で規制しています。また特に自社が開発するAIに関しては、回答内容の正誤だけではなく、どうしてその回答に至ったのかの説明責任を果たせるよう、学習データおよび過程の厳密な精査・管理を行っており、時間経過による性能劣化やハルシネーションの発生など限界があることを前提とした対策を行っています。

AI活用推進の取り組み

堅固なガバナンスの維持と積極的なAI活用の両立を図り、持続可能な企業価値の向上に取り組んでいます。
事業展開においては、個人の知識や経験を構造化・再現する「デジタル分身サービス」をはじめ、付加価値の高いAIソリューションの市場投入を推進しています。これら先進的な事業知見を基盤整備へとフィードバックすることで、国際的な潮流を先取りした「責任あるAI」の実装と、全社的な業務変革を展開しています。
また、経営意思決定の迅速化とガバナンス強化に向け、CxOや職種エキスパートの思想・知見・方針を取り込んだ複数のAIにより多角的なレビュー・分析を行うサービスの試験運用を開始し、投資案件の検討といった重要案件においてもAIが活用可能であるか検証し、精度向上に努めています。
今後は、開発リソースを戦略的に集中させるとともに、コンテンツの真正性を担保する自社技術を組み込むことで、信頼性の高いビジネスモデルの構築を加速させてまいります。

AI利用における環境負荷低減の取り組み

TOPPANグループ サステナブル調達ガイドラインを策定しており、AIの利用・開発においても環境保全、負荷低減に配慮した調達に努めています。また、サプライヤーからの調達にだけ頼るのではなく、低消費電力の小型AIや、エレクトロニクス事業においては省電力化した半導体パッケージなど、TOPPANグループとして環境配慮型の製品をご提供しています。