凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、次世代二次電池「エクセルギー電池」による電力インフラの開発・製造を手がけるエクセルギー・パワー・システムズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役:兜森俊樹、以下 エクセルギー社)と2018年2月9日に資本業務提携を締結し約5億円を出資、エクセルギー電池事業の共同推進に合意しました。凸版印刷は同電池向けに、印刷技術を応用して独自開発した電極を提供しており、本提携により、凸版印刷は次世代二次電池事業に本格参入します。
エクセルギー電池とは、凸版印刷が独自開発した専用電極を用いてエクセルギー社が開発した、一般的な二次電池の約100倍となる200C(*)以上の急速充放電が可能な次世代二次電池です。本電池を開発したことにより、従来常用電源からの大電力供給が必要だった医療機器や、一般的な二次電池では実現が困難だった高出力の回生電力の充電を活用した重機などに、本電池を利用できます。
凸版印刷とエクセルギー社はエクセルギー電池について、2018年4月からサンプル出荷を開始し、2020年度に量産を開始する予定です。両社は本事業により、高出力のパワーが生み出す新しい省エネ型インフラの実現を通じ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
開発の背景
世界的なモバイル需要の拡大に伴い、小型・薄型でエネルギー密度の高いリチウムイオン電池を中心に二次電池市場が急速に伸張、2025年には9兆円を超えると推測されています。さらに電気自動車など環境対応車向けの需要が急拡大しています。
車載向けでは、パワーと出力時間とを兼ね備えたニッケル水素電池やリチウムイオン電池などが主流となっており、フォークリフトなどの重機は、充電時間がおよそ8時間程度掛かることから稼働率を上げるために複数台用意する必要がありました。また、従来の二次電池は電池内部の放熱に時間がかかるため、温度上昇による電池の劣化防止にも課題がありました。
エクセルギー社は、2011年に設立された東京大学発のベンチャー企業で、水素を利用した蓄電池や燃料電池の開発・製造・提供を行っています。凸版印刷はエクセルギー社が設立された2011年より、これらの課題を解決する次世代二次電池として、エクセルギー社とエクセルギー電池の共同開発ならびに事業化に向けた実証を推進。連続的に急速充放電が可能で耐久性の高い次世代二次電池の開発に目処が立ったため、資本提携し、事業化を共同で進めていくことに合意しました。
エクセルギー電池の特長
・急速充放電が可能
電池内部で発生した熱を急速に放熱し、上昇温度を5度以内に抑える独自の電池構造を開発したことにより、一般的な二次電池の100倍となる200C以上の連続的な急速充放電を可能にしました。
・高い耐久性
電池内部に水素を封入し、酸化による電極の劣化を抑えたことで耐久性を大幅に向上。一般的な二次電池の10倍となる、ハイレート時連続50C充放電のサイクル寿命15万回以上を実現しました。
・フローティング充電が可能
電池起電圧を充電電圧で設定出来るため、制御装置がない状態でも過充電することなくフローティング充電が可能となり、バックアップなど無停電電源装置としても展開できます。
・安全材料を使用
構成材料にリチウムや有機溶剤などを使用していないため、二次電池の安全性試験の一つである釘刺し試験(*)の必要がありません。
・重機の省エネ、稼働率向上に貢献
クレーンなどは回生電力を有効活用することにより、消費電力が大幅に削減可能です。また急速充電により充電待機時間が大幅に短縮、電動フォークリフトなどの重機1台あたりの稼働率向上に貢献できます。
凸版印刷が独自開発した、エクセルギー電池向け電極について
凸版印刷の材料設計ノウハウとコーティング技術により開発した電極です。具体的には、印刷技術を応用し、電極材料である独自開発の導電性インキでニッケル系基材をコーティングしています。正極、負極、セパレータを積層することで電池セルを形成します。
今後の目標
凸版印刷とエクセルギー社は今後もエクセルギー電池の開発を進め、2025年に約100億円の売上を目指します。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
以上