製造工場から排出される廃プラスチックフィルムの水平リサイクルを実現

  • 凸版印刷株式会社
  • 三菱ケミカルグループ株式会社
  • 共栄社化学株式会社

 凸版印刷株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)、三菱ケミカルグループ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:ジョンマーク・ギルソン、以下 三菱ケミカルグループ)と共栄社化学株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:片岡 清夫、以下 共栄社化学)の3社は、包装材料の製造工場から排出される廃プラスチックを水平リサイクル(※1)することを目的とする、マテリアルリサイクル生産プロセスを共同開発する契約を2023年3月15日に締結しました。このたび、生産実証プロセスの原理検証機の導入を含む、マテリアルリサイクルの生産プロセスの実証試験を、6月より開始します。

  破砕した複合プラスチックフィルム        剥離・脱墨・分離したペレット      製膜したリサイクルプラスチックフィルム
破砕した複合プラスチックフィルム                剥離・脱墨・分離したペレット              製膜したリサイクルプラスチックフィルム

 今回プロセス開発するマテリアルリサイクル技術は、プラスチック複合素材の包装材料を剥離・脱墨(※2)・分離し、素材別の樹脂として取り出すことが可能です。分離して取り出された各々の樹脂は品質劣化が少なく、リサイクル樹脂として洗剤やシャンプーなどのトイレタリー製品や食品の包装材に使用するフィルムの原料としての利用を検討しています。3社は、マテリアルリサイクルされたプラスチックフィルムの生産プロセスを開発し、2027年度の社会実装を目指します。

開発の背景

 近年、地球温暖化対策や石油資源の有効活用の観点から、廃プラスチックを焼却処理するだけでなく原材料として再利用するリサイクルのスキームを構築することが喫緊の課題となっています。プラスチック複合素材を使用した包装材を、水平リサイクルする場合、包装資材に利用可能なフィルムに再生することに課題があります。

今回開発したマテリアルリサイクル技術について

 トイレタリー製品や食品などに使用されている複合プラスチックフィルムを粉砕し薬剤による処理などを行うことにより、リサイクルが可能なポリオレフィンやポリアミドなどの単一素材に分別する技術を3社が共同で開発しています。単一素材化し再生された樹脂は、包装用途のプラスチックフィルムに利用されます。

3社の役割

・凸版印刷
 自社工場で排出される廃プラスチックを供給し、剥離・脱墨するための最適条件を探索すると共に、再生樹脂の性能評価を行い包装材に使用可能かどうかの判断を行います。また将来の社会実装に向けて樹脂再生を行うと共に、再生樹脂を用いた包装材のマーケティングを行います。

・三菱ケミカルグループ
 グループの総合力を活かして、剥離・脱墨・分離のプロセス検証を行うための原理検証機の仕様、設計、製造を行います。中でも再生樹脂を単一素材の樹脂に分離する設備を導入、検証します。さらに包装用フィルムの製造ノウハウを活かし、将来の社会実装に向けて、ポリアミド、ポリオレフィンの再生原料を使用した包装基材の作製とその性能評価を行います。

・共栄社化学
 モノマー・オリゴマー・ポリマー製品の開発・製造技術、及び、調合技術を活かして自社開発した薬剤を用いて、プラスチック複合素材の包装材料を剥離・脱墨するプロセスの確立・最適化を行います。将来の社会実装時には薬剤製造だけでなく、使用済み薬剤を再生する技術も構築し、本技術の幅広い普及を担います。

今後の目標

 凸版印刷、三菱ケミカルグループと共栄社化学の3社は今回の取り組みを通じて、使用済みプラスチックフィルムの再資源化を推進し、持続可能な循環型社会の実現に貢献します。

※1 水平リサイクル
廃プラスチックを原料として用いて、同じ種類の製品につくりかえるリサイクルのこと。

※2 脱墨
印刷加工を施してある包装材から、インキや接着剤の成分を除去すること。


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以 上

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