中小規模工場におけるCO₂排出削減への適用に向けた実証実験を開始

  • TOPPANホールディングス株式会社
  • 株式会社OOYOO

 TOPPAN ホールディングス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長 CEO:麿 秀晴、以下TOPPAN ホールディングス)と株式会社OOYOO(読み:ウーユー、本社:京都府京都市、代表取締役CEO:大谷 彰悟、以下 OOYOO)は、CO₂の分離回収と再利用を目的としたCO₂分離膜(※1)の量産化に向けた基本合意契約を2023年12月に締結し、CO₂分離膜の大量生産に向けた共同開発を進めています。

 昨今、温室効果ガス削減を目的として、工場などからの排ガスやプロセスガスに含まれるCO₂を分離回収する技術が注目されています。CO₂分離にはいくつかの方法があり、TOPPANホールディングスとOOYOOが開発を進めているのは、省スペース且つ低エネルギーでの駆動が可能という特長を持つ膜分離法(※2)によるものです。このたび、OOYOOの持つ世界最先端のCO₂分離膜の技術と、TOPPANホールディングスがフィルム製造などで培ってきた表面加工技術・製造ノウハウを融合させた高性能なCO₂分離膜の量産化技術を開発しました。
 このCO₂分離膜を搭載した装置を用いて、工場などからの排ガスやプロセスガスに含まれるCO₂を分離回収し、炭酸ガス、肥料やドライアイス、化学製品や燃料製造のための資源として再利用することで、カーボンリサイクル技術の確立に寄与し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

 なお今回、TOPPANホールディングスとOOYOO は、この分離膜を搭載したCO₂分離回収装置(回収量 100kg/日)による実証実験を2025年10月より開始します。

背景

 2050年カーボンニュートラル達成に向けたIEAシナリオ(※3)ではCO₂を分離回収する技術は必須の技術と捉えられており、そのCO₂回収量は 2030年17億t/年 2035年 40億t/年、2050年 76億t/年 と想定されています。欧州EU-ETS(※4)、アメリカのインフレ抑制法によるカーボンプライシングが進んでおり、日本でも2025年3月GX推進法の改正法が成立し、今後CO₂排出削減に関連する事業化が加速すると予想されます。その中でCCUS (CO₂の回収・利用・貯留)の事業化への動きも活発化しており、日本政府も2030年に600~1,200万t/年のCO₂貯留事業化を目指した「先進的CCS事業」(※5)がスタートしました。
 一方、CO₂分離回収技術については、化学吸収法などの方式が主流ですが、CO₂再生に熱エネルギーを必要とするためエネルギーコストが高く、大規模な設備を伴うのが課題でした。これに対し、TOPPANホールディングスとOOYOOが開発を進めているCO₂分離膜は、熱を用いずに稼働できるため、省スペースかつ低エネルギーで運転でき、幅広い産業分野で導入しやすいことが特徴です。
 今回の実証実験は中小規模工場におけるCO₂排出削減への適用可能性を確認するものです。将来的には大規模産業工場などへの展開を目指す上で、重要なステップと位置付けられます。

本実証実験の概要

期間 2025年10月~
場所 TOPPANホールディングス 総合研究所
(埼玉県北葛飾郡杉戸町高野台南4-2-3)
対象 同研究所設置のガスボイラーから発生する排ガス
目的 -  中小規模工場におけるCO₂排出削減への適用可能性の確認
-  スケールアップに向けたエンジニアリングデータの蓄積
実証内容 ボイラー排ガスからのCO₂回収を行い、以下の検証を行う:
-  CO₂回収純度、回収率
-  連続運転による性能安定性
各社の役割 ・TOPPANホールディングス
-  実証場所及びボイラー排ガスの提供
-  膜分離装置に搭載するCO₂分離膜の製造
・OOYOO
-  膜分離装置の設置・運転
-  運転データ取得・分析

今後の展開

 TOPPANホールディングスとOOYOOは、これまで独自の高性能分離膜の量産化技術を共同開発しており、今回のボイラー排ガスを用いた共同実証実験により、膜・モジュール・装置技術を向上させ、社会実装への取り組みをさらに加速させます。両社は引き続き、CO₂分離膜の開発を進め、小規模から大規模まで幅広いCO₂排出源に貢献できる技術を確立した上で、2030年までのCO₂分離膜事業の開始を目指しています。TOPPANホールディングスとOOYOOは、これらの取り組みを通じ、カーボンニュートラル社会の実現という地球規模の課題解決に貢献していきます。

※1 CO₂分離膜: OOYOOが、独自技術により開発したCO₂/N₂分離膜です。OOYOOは、革新的なCO₂分離膜の開発を続けています。
※2 膜分離法: 薄膜を利用し、排出されたガスの中からCO₂を分離する技術。省スペース且つ低エネルギーでの駆動が可能という特長があります。
※3 IEAシナリオ: 国際エネルギー機関(IEA)が作成した、2050年までのエネルギー転換経路を描くシナリオ分析。
※4 EU-ETS: EU(欧州連合)が取り組むGHG(温室効果ガス)排出量に価格を付与し取引する制度
※5 「先進的CCS事業」:日本政府の方針のもと 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が支援する国内外の二酸化炭素の貯蔵等(CCS)プロジェクト。2024年9月時点で9案件、合計年間2,000万tのCO₂貯留を目標とする。
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以  上

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