世界では年間約13億トンの食料が廃棄されているという現実

今、世界は深刻な人口問題に直面していることをご存じでしょうか。

途上国における人口増加に伴い、世界全体の人口は2025年には80億人を越えると予測するデータもあります。こうした状況を背景に、今、解決が急がれているのが「フードロス」と呼ばれる食料を巡る問題です。

世界的な人口増加と食料需要の高まりの中で、未だ、全世界の人口のおよそ9人に1人に相当する8億1,500万人が栄養不足の状態にあると言われているにも関わらず、今、この瞬間も、賞味期限切れや食べ残しによって、まだ食べることができる食料が廃棄されています。

現在、世界中で発生している食料廃棄は年間約13億トン。これは食料生産量全体の3分の1に当たる量です。
この「フードロス」という人類全体が向き合うべき課題に対して、長年にわたって印刷テクノロジーに携わってきた企業として何ができるのか。TOPPANが担ってきた役割の一部をご紹介いたします。

「フードロス」解決の一翼を担うパッケージ技術

食料問題と印刷会社であるTOPPAN……一見するとあまり結びつきを感じられないかも知れませんが、元々「ある技術」を通じて密接な関係を持っていました。それはTOPPANが長年にわたって開発を続けてきた「パッケージ技術」。

例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、あるいはあなたの家のキッチンをイメージしてみてください。袋詰のスナック菓子、カップラーメン、缶詰、瓶詰、レトルト食品、トレイで包装された肉や魚……今や、あらゆる食料品の品質や安全性が、さまざまなパッケージによって守られていることがわかるはずです。

「フードロス」の要因のひとつは、食べられる前に賞味期限切れを迎え、廃棄されてしまう食料が多いということ。この課題に対して、TOPPANが培ってきたパッケージ技術はどのように貢献してきたのでしょうか。

バリアイメージ

水分と酸素が食品にもたらす影響に注目

もしも食料品の品質をより長く保ち、賞味期限をもっと伸ばすことができれば、「フードロス」の原因のひとつを解決に導くことができるはず。食料品の品質を損なう根本的な要因とはいったい何なのか?

そう考えたTOPPANが注目したのが「水分」と「酸素」。パッケージの中に余分な水分が侵入すれば、しけたりカビが発生したりしてしまい、水分を逃がすと乾燥してしまう。また、酸素が侵入すれば変色や腐敗、風味の変化を引き起こしてしまい、酸素が逃げれば香りがとんでしまう。

つまり、水分と酸素の出入りをシャットアウトできれば、品質をより長く保ち、廃棄される食料を減らすことができるということが見えてきました。

「捨てずに無駄なく使い切る」を実現する技術、
『GL BARRIER』が世界を変えていく

こうした観点から、TOPPANが「フードロス」低減に貢献できると考えているのが『GL BARRIER』。アルミ箔に匹敵する世界最高水準のバリア性を実現し、食品を酸化・乾燥・吸湿などから守る透明蒸着バリアフィルムです。

TOPPANは、長年にわたり印刷テクノロジーの応用分野として、パッケージ製造の工程から派生した「表面加工技術」の研究開発に取り組んでいます。その流れの中で1980年代に誕生したのが『GL BARRIER』でした。

しかし、ただ「性能が優れている」というだけでは、「フードロス」の解決には貢献できません。使いやすさを追求し、市場と生活に広く浸透するパッケージ技術でなければ意味がないのです。

だから、TOPPANは『GL BARRIER』を使って、さまざまなニーズ、用途、ライフスタイルに寄り添う多様なパッケージを開発してきました。実は、みなさんがレトルト食品を安心安全に電子レンジでそのまま温められるようになったのは『GL BARRIER』が使われているから。

『GL BARRIER』は、現在までに実に15,000点もの製品に採用される世界トップシェアの透明蒸着バリアフィルムとなり、今日も人々の暮らしの中で、さまざまな食料品を包み、守りながら、「捨てずに無駄なく使い切る」を実現し、「フードロス」低減の一翼を担っています。

未来のために、TOPPANのパッケージ技術ができること

印刷テクノロジーの担い手として「フードロス」の問題と向き合い、TOPPANが出した答え……大切な食品を包み、守ることで品質や味をより長く保つ透明蒸着バリアフィルム『GL BARRIER』は、「フードロス」低減に着実な貢献を果たしてきました。

しかし、『GL BARRIER』が秘めた可能性は「フードロス」の低減だけではありません。従来のパッケージに比べて非常に軽量であるため、輸送の省エネルギー化にも貢献できます。また、一部では、再生可能な素材の実用化も進め、使い終わったあともゴミにならないサスティナブルな仕組みづくりにも取り組んでいます。

さらに、その活用の場は食品分野だけでなく医療医薬分野、産業資材分野に至る幅広い分野に広がります。

未来のために、パッケージ技術ができることはまだまだたくさんある。
TOPPANと『GL BARRIER』の挑戦は、これからも続きます。

健康寿命を伸ばして、誰もが健やかな人生を楽しめるミライ