移行計画に関する目標(1.5℃目標の達成)

TOPPANグループでは、戦略的野心の達成を目指すとともに、パリ協定が掲げる1.5℃目標の達成や、各法域における脱炭素政策の進展を踏まえて、GHG排出量削減目標、および関連する事業活動や財務に関する目標を設定しています。これらの目標は、取締役会が外部環境の潮流等を踏まえ、定時的に進捗のモニタリング・レビューを行っています。
TOPPANグループは、各目標の達成を通じて、戦略的野心である自社排出量のネットゼロ化、気候関連リスク・機会への対応、ならびに脱炭素社会への移行に向けた貢献を実現していきます。

2050年の長期環境目標としては、以下を設定しています(基準年:2017年)。

  • 温室効果ガス排出量 Scope1、2 :ネットゼロ※1(2017年度比90%削減※2 1.5℃水準)
  • 温室効果ガス排出量 Scope3 :ネットゼロ※1(2017年度比90%削減※2 1.5℃水準)
※1
生物由来の温室効果ガス排出量を含むネットゼロ
※2
残余排出は国際的に認められる方法でオフセット

また、2030年の中長期環境目標として以下を設定しています(基準年:2017年)。

  • 温室効果ガス排出量 Scope1、2:54.6%削減※
  • 温室効果ガス排出量 Scope3:54.6%削減※
※
生物由来の温室効果ガス排出量を含む削減

削減施策

Scope1、2削減施策

TOPPANグループは、Scope1、2について、2030年度中長期環境目標の達成に向けて、以下の施策を段階的に推進しています。施策の導入時期の検討においては、費用対効果や設備更新タイミング等を考慮しています。2030年にかけての削減施策導入のロードマップを策定することで、脱炭素社会の実現に向けてより一層取り組みを強化しています。
まず、EMS・スマートファクトリー等の運用改善やリアルタイムの電力使用量のモニタリング・可視化を通じて、費用対効果の高いエネルギー使用量の削減を進めています。長時間使用しているユーティリティ設備については計画的に高効率な設備への更新を実施しており、エネルギー効率の低下した老朽化設備についてはTOPPANホールディングスのエコロジーセンターがリスト化し、計画的に高効率機への転換を図るよう指導を行っています。また、冷凍機やLED照明等の主要設備の高効率化を進めています。
さらに、TOPPANグループ2030年度中長期環境目標で掲げる再エネ比率25%の目標達成のため、太陽光パネルをはじめとした再生可能エネルギーの導入やCO₂排出係数が低い電力契約の検討を進めています。
これらの取り組みをさらに加速するため、2023年度にICP(インターナルカーボンプライシング)制度を導入しています。ICP制度により、将来の規制リスクの回避や脱炭素に対する社会的要請への対応コストを適切に投資判断に織り込み、省エネや再生可能エネルギー設備への投資を促進しています。

Scope3 削減施策

TOPPANグループのScope3排出量は、カテゴリー1(購入した製品・サービス)が過半を占めています。2030年度中長期環境目標(2017年度比54.6%削減、1.5℃水準)の達成に向けては、紙・プラスチック等の主要原材料の使用量の効率化に加え、リサイクル材やバイオ材をはじめとする低炭素素材への転換が不可欠です。
こうした認識のもと、TOPPANグループは、低炭素素材の調達を推進するとともに、サプライヤーとの連携を通じたバリューチェーン全体での排出削減に取り組んでいます。
具体的には、サプライヤーからの一次データの収集を進め、排出量の精緻な把握と可視化を図っています。
排出量削減に向けた要請・協働や、共同LCA(ライフサイクルアセスメント)の実施を通じて削減効果の見える化を推進するほか、再生可能エネルギーの共同調達やサプライヤーの資金的負担低減に向けた施策の検討を行っています。また、カテゴリー4(輸送、配送(上流))の削減に向けて、物流会社に対しても同様の取り組みを行うことを検討しています。

投資、資金について

施策の実行に向けて、TOPPANグループ全体で2030年にかけて省エネ設備導入等に向けた投資(CAPEX)を予定しています。また、再生可能エネルギー由来の電力調達量の増加を主な理由として、2030年にかけて現状より事業運営費(OPEX)増加を見込んでいます。

ステークホルダーエンゲージメント

基本的な考え方

戦略的野心の達成のためには、TOPPANグループ内だけでなく、幅広いステークホルダーと共同で脱炭素に向けた取り組みを推進していくことが必要です。
TOPPANグループは、各種ガイドラインに基づきエンゲージメント活動を「戦略的野心の達成のため、各種ステークホルダーに対して直接的又は間接的に影響を及ぼすための活動(情報収集・発信、対話・交渉、協働)」と定義し、自社バリューチェーン内企業、業界団体、政府・自治体、市民社会(NGO・NPO)をはじめとする各ステークホルダーに対して働きかけを行っています。

バリューチェーンへの取り組み

TOPPANグループのバリューチェーン内排出量の削減には、自社オペレーションにおけるGHG排出量削減の取り組みだけでなく、サプライヤーや物流会社をはじめとするバリューチェーン上のステークホルダーとの協働が不可欠です。Scope3排出量の削減を目的に、全てのTier 1サプライヤーを含むステークホルダーへのエンゲージメント活動を行っています。
具体的には2017年より、バリューチェーン内における削減効果が適切に数値に反映されるよう、サプライヤーや物流会社からの1次データ収集を継続しています。今後は特に海外企業に注力してデータ収集を進め、GHG排出量データの品質およびトレーサビリティの向上に取り組みます。さらに、サプライヤーへのSBT目標の認証取得推奨を要求事項へ追加し、直接働きかけることでバリューチェーン全体での排出量削減活動を推進しています。

業界と団体とのアラインメント

業界団体の気候変動に対する取り組み状況は継続的にモニタリングを行い、TOPPANグループの脱炭素に向けた取り組みとの整合を図っています。具体的には、TOPPANグループにとって重要な政策領域を特定し、業界団体に対して当該領域におけるTOPPANグループとしての見解を発信しています。現状は、パリ協定、昆明・モントリオール生物多様性枠組、SDGs(持続可能な開発目標)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」を重要な政策領域と特定し、各業界団体についてこれらとの整合性を確認しています。同時に、各業界団体の見解とTOPPANグループの見解の整合性を確認し、見解が異なる領域がある場合には、対話を通じて相互理解を図っています。
今後は、重要な政策領域におけるポジションステートメントの発行も必要に応じて検討していきます。整合性の確認や対話の結果も踏まえて、各業界団体へのTOPPANグループの参画意義を定期的に検証しています。

政策、社会全体への取り組み

社会全体の脱炭素を推進するためには、原材料由来GHG排出量の削減や、GHG排出量削減の取り組みの基盤となるGHG排出量データの授受を円滑に行うための情報基盤整備が不可欠です。TOPPANグループが長年培ってきた素材技術および情報技術は、それぞれ製品由来のGHG排出量削減および情報基盤の整備に貢献し得るものです。TOPPANグループは、これらの技術の活用や、資源循環型素材の製造~リサイクルに至るエコシステムの構築を通じて、国内外におけるGX政策の実装を主導する中核的役割を担うことを目指し、政府・自治体や業界団体をはじめとするステークホルダーに対してエンゲージメント活動を行います。
TOPPANグループは、政府の検討会や業界団体に対して、これらの素材技術・情報技術を提案し、国内外におけるGX政策の実装に貢献しています。素材技術に関して具体的には、2026年度初頭より高機能透明バリアフィルムやFC-BGA基板をはじめとする廃棄物の削減とGHG排出量の削減を両立し得る技術の活用提案を始めました。
また、リサイクルバリューチェーンにおいて活用可能なICタグを提案・展開し、資源循環型素材のエコシステム構築にも貢献しています。さらに、社会全体においてGHG排出量の削減効果が適切に評価され、有効に活用されることを促すため、2026年度半ばからはScope4に関する国内外のガイドライン・基準の整備に取り組んでいます。
情報技術に関しても、資源回収・再利用促進およびサプライチェーン排出量の可視化・データ精緻化のためのデジタル基盤構築に向けた、デジタル製品パスポート(DPP)や認証技術を活用した仕組みの政府検討会や、業界団体への提示にも取り組んでいます。2027年度からは、海外におけるDPP制度などへの活用も見据えて、グローバルでのデータ透明性・信頼性の確保およびGHG排出量の削減に貢献していきます。

社会影響

TOPPANグループでは、低炭素社会への移行計画およびそれに伴う行動が、自社の事業活動、サプライチェーンの労働者、地域社会ならびに消費者に及ぼす影響(社会影響)を評価し、負の影響の最小化と適応策の推進に努めています。
具体的には、サプライチェーンの労働者や人権への影響として、「TOPPANグループサステナブル調達ガイドライン(第4版)」に基づき、紛争鉱物や太陽電池製造等における人権侵害に加担する部資材の調達を行わない「責任ある鉱物調達」を徹底しています。
また、地域社会や環境への影響に対しては、TCFD提言に基づくリスク評価において、気候変動に伴う急性物理リスク(災害・洪水・浸水等)の増加による化学物質の外部流出リスク等を特定しています。これに対し、ISO14001の環境側面評価の仕組みを適用し、事業継続のための適応策や災害対策を講じることで、地域社会の安全確保と環境保全に配慮した体制を整備しています。