基本的な考え方

企業が事業活動を進めていく上で、コンプライアンスを遵守することは、最も基本的な企業の社会的責任のひとつです。TOPPANグループで働く全ての従業員がこの重要性をしっかりと認識し、法令、社会規範、会社のルール等を遵守し、高い倫理観と誠実さをもって、適切に判断し行動することが極めて重要であると考えています。
また、グループの事業のグローバル化が進展し、ボーダレスな事業活動が活発化することに伴ってコンプライアンスにかかわるリスクも増大しています。
一方でTOPPANグループでは、2000年に、基本理念、経営信条を踏まえて「行動指針」を制定しました。これは、従業員が遵法精神と企業倫理に則って行動できるよう、基本的な考え方や実際の行動のあり方を定めたもので、グループにおけるコンプライアンスの基本規定として位置付けており、海外グループ会社を含めた内容となっています。
また、経営環境や社会情勢の変化を踏まえ、適宜見直しを実施しています。直近では、サステナビリティの観点を反映した改定を行っています。
なお就業規則の懲戒規定において、法令をはじめ行動指針などに対する重大な違反行為への懲戒を定めるとともに、従業員の本俸改定、賞与や人事考課などの評価においては、法令遵守や企業倫理、環境保護などの行動を「社会的責任の遂行」として評価項目に盛り込んでおり、より一層のコンプライアンスの徹底を図っていきます。

推進体制

TOPPANグループは、コンプライアンス基本規程として「TOPPANグループ行動指針」を定め、この周知徹底を図ることで従業員の職務執行の適法性を確保しています。そのために、法務本部内にはコンプライアンス部が設置され、子会社の法務部門等と連携し、グループ全体の法令遵守と企業倫理の確立を図っています。さらに、各職場における行動指針の浸透を図るため、TOPPANホールディングスおよびその子会社で行動指針推進リーダー制度を導入し、行動指針担当役員のもと、各職場の行動指針推進リーダーを中心として、日常業務レベルでの浸透・徹底を図っています。
TOPPANグループは、主要事業会社であったTOPPAN株式会社、TOPPANエッジ、TOPPANデジタルの3社を一社に統合するとともにビジネスユニット(BU)制導入による事業別管理を開始するなど大きな転換期を迎えています。こうした経営環境の変化の中、グループの持続的な成長を実現するためには、その基盤となる行動指針のさらなる浸透・徹底が重要となっています。
このような背景を踏まえ、2026年度より現行の「行動指針推進リーダー制度」の見直しを実施しました。
新制度では、これまでの監督職層中心の推進体制から対象を本部長・部門長層に変更し、自部門における行動指針の浸透・徹底と、風通しの良い健全な組織風土の醸成を推進する体制へ移行します。これにより、従業員一人ひとりが行動指針を日常業務の判断軸として実践し、TOPPANグループ全体の持続的な企業価値向上につなげていきます。

推進体制図
TOPPANホールディングス社長下に行動指針推進統括責任者として法務本部長を配置し、法務本部コンプライアンス部が全体事務局を担っている。また、子会社・関係会社の部門長クラスに担当させる行動指針推進責任者を通じて全従業員へと浸透させる体制。

行動指針推進リーダーの状況

行動指針推進リーダーは毎年度改選し、2025年度はグループ全体で857名のリーダーが選任されました。2004年度の制度導入開始から現在までのリーダー数は、のべ15,227名となりました。

新規選任リーダー数 累積選任数
2021年度 713名 11,845名
2022年度 717名 12,562名
2023年度 914名 13,476名
2024年度 894名 14,370名
2025年度 857名 15,227名

取り組み

コンプライアンス遵守教育

毎年度、行動指針推進リーダーを対象とした集合研修を実施しています。この研修では、実際に起こった事件や事故を題材としたケースメソッドを用いて、グループ討議を行うなど、研修の実効性を高める工夫を行っています。2025年度は、オンライン形式による研修を全国で27回開催し、グループ会社を含め1,379名が受講しました。
また、行動指針の理解を深め、日常業務において疑問を持ったり、判断に迷いが生じたりした際に活用するためのガイドライン「行動指針ケースブック」を発行し、TOPPANグループを取り巻く社会情勢の変化や法改正などを踏まえながら、近年グループで顕在化したリスクや新たなリスクにも対応すべく、既存ケースの統廃合や修正を適宜実施しております。さらに、法務本部コンプライアンス部から、行動指針に関するトピックスを紹介する「行動指針通信」を毎月1回発行しています。
さらに、TOPPANグループでは全社員を対象に、行動指針の浸透・徹底を目的としたeラーニングを毎年実施しており、2025年度は28,531名が受講しました。加えて、同年度より不正防止教育として映像コンテンツの視聴を導入し、不正行為に対する意識向上とコンプライアンス意識のさらなる強化に取り組んでいます。

コンプライアンスの状況

2025年度に、事業活動における重大な法令違反や事故は発生していません。

腐敗防止への取り組み

TOPPANグループは、国連「グローバル・コンパクト」を支持し、腐敗防止にも取り組んでいます。「TOPPANグループ行動指針」には、「贈賄や不適切な接待をしない」ことを定めているほか、リベートの受領や提供、談合・カルテル、違法な政治献金や寄付などを行わないなど、腐敗防止について幅広く定めています。2024年7月には、この腐敗防止に関する行動指針の内容などをグループ内外に対してより明確に示すために、取締役会の決議にもとづき「TOPPANグループ腐敗防止方針」を制定しています。
中でも、贈賄防止に関しては、「贈賄防止管理規程」および「贈賄防止管理ガイドライン」を制定し、法務担当役員を贈賄防止統括責任者とする遵守体制を構築するとともに、公務員などに対する接待や贈答にかかる事前申請制度を運用し、贈賄防止の徹底を図っています。また、どのようなケースが贈賄にあたるかを示した「Q&A集」を作成し、さらなる意識向上と注意喚起を促しています。ビザの発給や通関の手続きなどの行政サービスを円滑化するための少額の支払い、いわゆる「Small Facilitation Payments」についても原則禁止としています。
さらに、寄付および資金提供についても、「TOPPAN グループ行動指針」および「反社会的勢力への対応に関する基本指針」において、反社会的勢力との関係を一切断つと明記し、違法性がある寄付および資金提供の禁止について徹底を図っています。2025年度に、公務員などに対する不適切な接待や贈答はありませんでした。
毎年度、海外赴任者を対象とした赴任前研修において、外国公務員への贈賄や商業賄賂の防止、事前申請制度の説明を実施しており、2025年度は、56名が受講しました。
海外現地法人についても、上記「贈賄防止管理規程」の対象範囲に含め、対応強化を図っています。

政治献金・その他支出

(単位:百万円)

2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
ロビー活動 0 0 0 0 0
政治活動・政治団体への支出 7.6 7.8 0.7 7.5 7.7
業界団体などへの支出 21.9 22.0 30.1 34.5 34.7
その他
(投票法案・国民投票に関連する支出)
0 0 0 0 0
合計 29.5 29.9 30.9 41.9 42.4
※
グループ全体の政治献金・その他支出

取引関連法規遵守の教育

重要な取引関連法規への対応として、適正取引の推進を徹底しています。2025年度は、2026年1月施行の「中小受託取引適正化法(取適法)」改正を踏まえ、遵守マニュアルの刷新を行いました。適正取引にかかわる教育を関係会社を含む発注部門・営業部門に対して実施し、主要事業会社においては14,246名が受講しました。また、監査対象を拡大して主要事業会社の102部門(関係会社を含め147部門)に監査を実施しました。
さらに、協力会社との共存共栄を促進すべく、コスト上昇分の適正な転嫁に努めました。具体的には、価格協議に応じる旨を示したはがきおよびメールを協力会社に対して発送するとともに、発注部門に対して指導を徹底しています。
また、フリーランス法への対応として、教育を関係会社を含む従業員に対して実施し、主要事業会社においては18,317名が受講しました。併せて、定期的な取引状況の確認・指導を進めています。

内部通報制度

法令違反や不正を発見した場合、自分の上司に報告・相談することを原則とし、それでも解決できない場合は、「TOPPANグループ内部通報制度」で通報することができます。
この制度は、TOPPANホールディングスおよび連結会社の役員、従業員、嘱託、ならびにパート、アルバイトおよび派遣社員など、フリーランスを含む業務委託先の従業員および通報の日前1年以内にそれらの地位にあった者が利用できます。本制度の統括責任者は代表取締役社長が務めています。
また、通報内容に関する調査は統括責任者が任命した者が務めるコンプライアンス委員会が主に対応し、その結果や対策は統括責任者へ報告されます。さらに、通報者の保護の観点から、通報者の実名・内容についてこれを知り得た者が守秘義務を負うことや、同義務に違反した場合の懲戒の措置を規程上において明確にしています。利用しやすい環境を整備するため、通報窓口を「社内窓口」「監査役窓口」、法律事務所の弁護士を窓口とする「社外窓口」の3つを設置しています。併せて、匿名による通報を受け付ける体制で運用しています。また、「TOPPAN グループ内部通報規程」で通報者等に対していかなる報復措置も許容しないことや通報内容については機密として保持されること、情報の取り扱いについては公益通報者保護法に定める公益通報従事者に限ることを定めており、通報者保護の姿勢を明確にしています。この仕組みは、「TOPPANグループ行動指針」によるコンプライアンスを徹底し、法令違反や不正行為を早期に検出し、適切に対処する機能を果たしています。
さらに、制度の趣旨や概要、利用上の注意点などを周知するため、社内ポータルサイトに情報を掲載するとともに各職場にポスターを掲示しています。そのほか、新入社員研修や階層別研修などを通じて、制度の周知を図っています。

TOPPANグループ内部通報制度

上司に報告・相談しても解決されない場合、社内・監査役・社外の3つの通報窓口へ内部通報できる仕組み図。通報は原則実名による封書やe-mailだが、社外窓口は匿名可。通報窓口は調査対策組織への指示・報告を経て、通報者へ結果報告やフォローを実施。
※
社外窓口への通報に対する調査や対策などの検討・立案は社外窓口から連絡を受けたコンプライアンス委員会が行います

内部通報件数

2025年度は、12件の通報がありました。重大な法令違反や不正行為にかかわる通報はありませんでした。12件のうち5件がハラスメントにかかわる通報、2件が人事処遇にかかわる通報、5件についてはその他業務内容についての通報でした。これらの通報に対しては、適正に対処するとともに、同様な事案の再発防止に向けた対策を講じました。

事業等のリスク

TOPPANグループに関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」において、「不祥事(重大な不正、不適切な行為等)、コンプライアンス違反(談合、贈賄、その他法的規制違反)に関するリスク」を特定しており、その対応策として、TOPPANグループ行動指針の徹底や、海外での「オペレーションガイドライン」展開などの取り組みを推進しています。