世界的な健康寿命延伸と求められる医療・医薬サービスの変化

人類の寿命が年々延びるにつれ、「健康に生きられる」寿命である「健康寿命」に注目が集まっています。厚生労働省によれば、国内の2019年における男性の寿命81歳に対し健康寿命は73年、女性は87歳に対し75歳。

逆に言えば、男性は8年、女性は12年間も「不健康に」生きなくてはならないのです。この期間をどれだけ短くできるか。超高齢化社会を迎える日本だけでなく、世界中が今、このヘルスケアの難題に注目しています。

TOPPANのパッケージ製造や専門機関とのアライアンスの知見を活かしたヘルスケア事業

TOPPANはこれまで、製造業や金融業、サービス業など様々な業種の仕事をしてきました。

企業や専門機関とのアライアンス、パッケージの製造から物流等の経験とノウハウを生かし、ヘルスケア事業へ取り組み、消費者の皆さまの健康増進、そして健康寿命延伸に貢献しています。まずはヘルスケア×テクノロジーの事例をご紹介しましょう。

医療ビックデータを活用した健康長寿社会の実現

2018年に「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(通称:次世代医療基盤法)」が施行されました。TOPPANは、医療情報の匿名加工を行う次世代医療基盤法の「認定医療情報等取扱受託事業者」であるICI株式会社(以下ICI)と資本業務提携を行い、治療結果を含む電子カルテデータの利活用事業に取り組んでいます。
本提携では、ICIが幅広い医療ビッグデータを収集・統合した社会インフラ基盤を構築し、TOPPANが事業会社として医療ビッグデータの利活用促進に向けた事業開発を推進しています。TOPPANとICIは、病院、診療所、自治体、介護施設などから収集した医療ビッグデータの流通を通じて、保健・医療・福祉に関する研究開発及び新事業創出による健康長寿社会/地域共生社会の実現を目指します。

遠隔での服薬指導や処方せん薬の宅配が可能な「とどくすり」

TOPPANのヘルスケア事業は、これに留まりません。2020年には処⽅せん薬宅配サービス 「とどくすり」をスタート。⾃宅にいながら、オンライン上で処⽅せん薬の申し込み、服薬指導から薬代の決済、薬の受け取りまでを完結できるサービスです。感染症予防につながるほか、薬局に出向く必要がないため足腰が悪く外出が困難な高齢者や近所に薬局がない方の医療アクセスを向上させることができます。

また、オンラインの活用により薬局・薬剤師へのアクセスが容易になることで、高血圧や糖尿病といった慢性疾患を抱える患者や、人前ではなかなか相談しづらい疾患を抱える患者の治療継続や重症化予防にも貢献しています。将来的には、医療ビッグデータと連携し、一人ひとりに寄り添った最適な医療を提供するサービスへ進化させていく予定です。

体外診断用医薬品の開発から製造、医療機関に届くまでをワンストップで提供可能に

臨床検査はこれまで、検査センターや病院内の検査室等で⾏われる中央集権型が中⼼でした。これが今、変化の兆しを⾒せています。これからは、病院や薬局にて患者さんの側で、又は在宅にて本人が、⼩型の装置で迅速・簡便に検査を⾏う体外診断⽤医薬品の「POCT検査(Point of Care Testing)」が拡⼤すると⾔われているのです。体外診断⽤医薬品の中でも、患者のすぐそばで迅速に検査結果を判定可能なPOCT検査キットは、結果判定までの時間が⼤幅に短縮することから、世界中でニーズが⾼まっています。
TOPPANはこの体外診断⽤医薬品にも、活躍の場を広げました。合弁会社「トッパンメディカルファクトリー」を2020年に設⽴し、「POCT検査」を中心とする体外診断⽤医薬品の製造を開始しています。

なぜTOPPANが体外診断薬に取り組むのか。それはTOPPANがこれまでの歴史の中で培ってきた、「成型加工」「表面加工」「微細加工」などの「印刷テクノロジー」の展開が可能だからです。また今後拡大する「POCT検査」においても、この「印刷テクノロジー」の展開範囲は、更に拡大していくことでしょう。また、TOPPANは2021年に「医薬品卸売販売業」許可を取得。これにより、体外診断⽤医薬品(医療⽤)の卸売ができるようになりました。そう、TOPPANは、体外診断⽤医薬品を、開発から製造、物流まで、ワンストップで提供できるようになったのです。

これまでの医療・医薬サービスの在り方を変えるTOPPANのヘルスケア事業

TOPPANのヘルスケア事業は、デジタルテクノロジーを用いた単に新しい事業というだけでなく、TOPPANが過去に築いてきた信頼と実績を掛け合わせて構築するものです。これまで培ってきたノウハウに、デジタルを組み合わせ、DXを推進する。TOPPANはモノ×サービスへもこのヘルスケア事業で挑み、国民の健康寿命延伸に貢献していきます。

デジタル変革で「買う側」の生活も「売る側」のビジネスも豊かにするミライ