基本的な考え方TOPへ戻る

企業が事業活動を進めていく上で、コンプライアンスを遵守することは、最も基本的な企業の社会的責任のひとつです。TOPPANグループで働く全ての従業員がこの重要性をしっかりと認識し、法令、社会規範、会社のルール等を遵守し、高い倫理観と誠実さをもって、適切に判断し行動することが極めて重要であると考えています。
また、グループの事業のグローバル化が進展し、ボーダレスな事業活動が活発化することに伴ってコンプライアンスにかかわるリスクも増大しています。
TOPPANグループでは、2000年に、基本理念、経営信条を踏まえて「行動指針」を制定しました。これは、社員が遵法精神と企業倫理に則って行動できるよう、基本的な考え方や実際の行動のあり方を定めたもので、グループにおけるコンプライアンスの基本規定となっています。経営環境、社会情勢の変化に伴い、2010年には全面改定を行い、「TOPPANグループ行動指針」として国内外を含めたグループ全社に適用したことに続き、2020年には再度見直し、2021年4月に全面改定しました。この改定では「基本原則」に「サステナブルな社会の実現」や「人財の多様性」「働きがい」等の要素を盛り込んでいます。これにより、TOPPANグループの「TOPPAN SDGs STATEMENT」に示されたマテリアリティへの取り組みを加速させるとともに、「行動指針」の徹底を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。

コンプライアンス推進体制TOPへ戻る

TOPPANグループは、コンプライアンス基本規程として「TOPPANグループ行動指針」を定め、この周知徹底を図ることで従業員の職務執行の適法性を確保しています。そのために、法務本部内にコンプライアンス部を設置し、子会社の法務部門等と連携し、グループ全体の法令遵守と企業倫理の確立を図っています。さらに、各職場における行動指針の浸透を図るため、凸版印刷株式会社およびその子会社で行動指針推進リーダー制度を導入し、行動指針担当役員のもと、各職場の行動指針推進リーダーを中心として、日常業務レベルでの浸透・徹底を図っています。
具体的には、同制度の責任者である行動指針担当役員(代表取締役副社長)が活動を監督、各職場に配置された行動指針推進リーダーが職場での教育活動を行います。また職場で発生した相談や問い合わせについては、行動指針推進リーダーが事務局を通じて行動指針担当役員へ報告します。
なお就業規則の懲戒規定において、法令をはじめ行動指針などに対する重大な違反行為への懲戒を定めるとともに、従業員の本俸改定、賞与や人事考課などの評価においては、法令遵守や企業倫理、環境保護などの行動を「社会的責任の遂行」として評価項目に盛り込んでおり、より一層のコンプライアンスの徹底を図っていきます。

推進体制

行動指針推進リーダーの状況

行動指針推進リーダーは毎年度改選し、2022年度はグループ全体で717名のリーダーが選任されました。そのうち女性は124名(17.3%)、2004年度の制度導入開始から現在までのリーダー数は、のべ12,562名となりました。

新規選任リーダー数 女性選任数(比率) 累積選任数
2019年度 688名 87名(12.6%) 10,420名
2020年度 712名 98名(13.8%) 11,132名
2021年度 713名 115名(16.1%) 11,845名
2022年度 717名 124名(17.3%) 12,562名

コンプライアンス遵守教育TOPへ戻る

毎年度、行動指針推進リーダーを対象とした集合研修を実施しています。この研修では、実際に起こった事件や事故を題材としたケースメソッドを用いて、グループ討議を行うなど、研修の実効性を高める工夫を行っています。2022年度は、オンライン形式による研修を全国で38回開催し、グループ会社を含め、1,150名が受講しました。
また、行動指針の理解を深め、日常業務において疑問を持ったり、判断に迷いが生じたりした際に活用するためのガイドライン「行動指針ケースブック」の見直しを行い、2022年4月1日付けで改定しました。
この改定ではTOPPANグループを取り巻く社会情勢の変化や法改正などを踏まえながら、近年グループで顕在化したリスクや新たなリスクにも対応すべく、新たなケースを追加しました。併せて既存ケースの統廃合や修正を行いました。さらに、法務本部コンプライアンス部から、行動指針に関するトピックスを紹介する「行動指針通信」を毎月1回発行し、行動指針推進リーダーを通じて、各職場でのコンプライアンス意識の徹底を図りました。このほかにも、コンプライアンスセミナーの開催やコンプライアンスポスターの掲示などによりその徹底を図っています。
さらに海外の現地法人への行動指針の浸透およびコンプライアンスの遵守を徹底するため、各社にTOPPANグループ行動指針を導入するとともに、説明会を実施しています。

行動指針ケースブックの主な改訂内容

  • 人権に関するケース
    パワーハラスメントの6類型の1つである「個の侵害」や近年、世界的に問題となっている児童労働や強制労働などの問題を踏まえ、関連するケースを追加しました。
  • 談合防止に関するケース
    公共ビジネスが拡大する中、入札談合にかかるケースを追加し、入札における注意点についても言及しました。
  • 持続可能な調達(サステナブル調達)に関するケース
    サプライチェーン全体で社会的責任を果たすことが求められていることから、サプライヤー・業務委託先との取引において重視すべき「持続可能な調達(サステナブル調達)」に関連するケースを追加しました。
  • 品質に関するケース
    昨今の品質偽装事件の顕著化を受けてケースを追加し、契約違反としてクレームを受けるだけでなく、会社の社会的信用の失墜につながることを明示しました。
  • ダイバーシティ&インクルージョンに関するケース
    「ダイバーシティ&インクルージョンを推進する」という項目の新設にあわせて「ダイバーシティ&インクルージョン」をより理解していただくためのケースを追加しました。
  • 知的財産権に関するケース
    行動指針に示された「知的財産を確保し、活用する」を実現するため、積極的な特許出願だけでなく、商標権や意匠権にも言及し、全面的な見直しを行いました。
  • BCPに関するケース
    今後、高い確率で起こると予想される首都直下地震、南海トラフ地震での被害を最小化するために、地震への準備、地震が発生した際の行動に関するケースを追加しました。
  • サイバーセキュリティに関するケース
    企業をターゲットにしたサイバー攻撃やビジネスメール詐欺による被害が発生していることを踏まえ、「不審メール・ウイルス感染の通報窓口」への相談・通報の徹底やビジネスメール詐欺への注意喚起を強調しました。

コンプライアンスの状況

2022年度に、事業活動における重大な法令違反や事故は発生しておりません。

腐敗防止への取り組みTOPへ戻る

TOPPANグループは、国連「グローバル・コンパクト」を支持し、腐敗防止にも取り組んでいます。「TOPPANグループ行動指針」には、「贈賄や不適切な接待をしない」ことを定めているほか、リベートの受領や提供、談合・カルテル、違法な政治献金や寄附などを行わないなど、腐敗防止について幅広く定めています。
中でも贈賄防止に関しては、2017年3月に「贈賄防止管理規程」および「贈賄防止管理ガイドライン」を制定し、法務担当取締役を贈賄防止統括責任者とする遵守体制を構築するとともに、公務員などに対する接待や贈答に係る事前申請制度をスタートさせ、贈賄防止の徹底を図っています。2018年4月には、どのようなケースが贈賄にあたるかを示した「Q&A集」を作成し、さらなる意識向上と注意喚起を促しています。ビザの発給や通関の手続きなどの行政サービスを円滑化するための少額の支払い、いわゆる「Small Facilitation Payments」についても原則禁止としています。
また、寄附および資金提供についても、「TOPPANグループ行動指針」および、「反社会的勢力への対応に関する基本指針」において、反社会的勢力との関係を一切断つと明記し、違法性がある寄附および資金提供の禁止について徹底を図っています。2022年度に、公務員などに対する不適切な接待や贈答はありませんでした。
毎年度、海外赴任者を対象とした赴任前研修において、外国公務員への贈賄や商業賄賂の防止、事前申請制度の説明を実施しており、2022年度は6回実施し、26名が受講しました。
海外現地法人においても贈収賄防止規程の整備を進めています。2021年に、上海地区の現地法人において贈収賄防止規程を制定し、2022年度は従業員に対する説明会を実施しました。
また、政府・地方自治体発注の公共事案が増えてきていることから2022年度は関係会社を中心に独占禁止法教育を実施し、1,597名が受講しました。

政治献金・その他支出

(単位:百万円)

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
ロビー活動 0 0 0 0
政治活動・政治団体への支出 7.9 7.7 7.6 7.8
業界団体などへの支出 21.3 21.5 21.9 22.0
その他(投票法案・国民投票に関連する支出) 0 0 0 0
合計 29.2 29.2 29.5 29.9

取引関連法規遵守の教育TOPへ戻る

重要な取引関連法規への対応として、下請法の遵守と不適切な輸出入取引の防止を徹底しています。
2022年度は、下請法にかかわる教育を下請取引のある部門を対象に実施し、2,644名が受講し、62部門に対して下請取引の状況について監査を実施しました。また、外国為替および外国貿易法による輸出規制にかかわるeラーニングを10,336名が受講し、35部門で監査を実施しました。
いずれの監査でも重大な不具合は発見されず、適切に運用されていることを確認しました。また、2022年度は、下請取引および輸出入取引において、トラブルや事故は発生していません。

内部通報制度TOPへ戻る

法令違反や不正を発見した場合、自分の上司に報告・相談することを原則とし、それでも解決できない場合は、内部通報制度「TOPPANグループ・ヘルプライン」で通報することができます。この制度は、パート・アルバイト・派遣社員を含めたグループ会社(上場会社を除く)の全ての役員と従業員が利用できます。この仕組みは「TOPPANグループ行動指針」によるコンプライアンスを徹底し、法令違反や不正行為を早期に検出し、適切に対処する機能を果たしています。
これまで通報窓口を凸版印刷株式会社の代表取締役社長または常任監査役としていましたが、通報のハードルを下げ利用しやすい環境を整備すべく、2019年11月、内部通報規程を改定し、代表取締役社長は通報窓口ではなく、統括責任者としました。また、通報窓口として「社内窓口」「監査役窓口」、法律事務所の弁護士を窓口とする「社外窓口」の3つを設置することとし、2020年4月1日より運用を開始しています。
制度の趣旨や概要、利用上の注意点などを周知するため、社内ポータルサイトにコンテンツを掲載しています。そのほか、新入社員研修や階層別研修などを通じて、制度の周知を図っています。
なお、2022年5月に内部通報規程をさらに改定し、2022年6月に施行の改正公益通報者保護法に対応する制度へと見直しました。

内部通報件数

2022年度は、「TOPPANグループ・ヘルプライン」に、17件の通報がありました。重大な法令違反や不正行為にかかわる通報はありませんでした。17件のうち12件がハラスメントに関する通報、5件が業務処理の改善を求める通報でした。これらの通報に対しては、適正に対処するとともに、同様な事案の再発防止に向けた対策を講じました。

TOPPANグループ・ヘルプライン
社外窓口への通報に対する調査や対策などの検討・立案は社外窓口から連絡を受けたコンプライアンス委員会が行います。

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