Social 社会サプライチェーンマネジメント
基本的な考え方TOPへ戻る
TOPPANグループは、企業の社会的責任を果たし持続可能な社会の実現に貢献するために、サプライヤーや協力会社(以下「ビジネスパートナー」)の皆さまと協力してサプライチェーン全体で、持続可能な調達(サステナブル調達)活動を推進しています。また、この取り組みを通じて、TOPPANグループとビジネスパートナーの皆さま双方の企業価値を向上させることも目指しています。
具体的には、2022年1月に、TOPPANグループは近年のサプライチェーンマネジメントにおける人権課題、労働安全衛生、環境等への社会的な要請に対応し、「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」へ改訂しました。今後、サプライチェーン全体に本ガイドラインを周知し、運用し、監査、是正するサイクルを回し、ビジネスパートナーの皆さまと協力して持続可能な調達活動をさらに加速していきます。
2022年9月には、凸版印刷株式会社は「パートナーシップ構築宣言」を公表しました。ビジネスパートナーの皆さまとともにサプライチェーン全体で「持続的発展可能な社会の実現」への貢献を目指し、企業の社会的責任を果たす取り組みを行います。望ましい取引慣行の遵守への取り組みや BCP(事業継続計画)策定への助言等の支援を通じて、ビジネスパートナーの皆さまとの共存共栄を目指します。
サステナブル調達ガイドラインの構成
「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」は、調達を主管とする部署のみならず事業活動として物品・サービスを取りそろえる全ての部署が守るべき基本的な考え方である「調達基本方針」と、ビジネスパートナーの皆さまに遵守を要求する「サステナブル調達基準」で構成されています。
「サステナブル調達基準」は「法令遵守と国際規範の尊重」「人権・労働」「安全衛生」「環境」「公正取引・倫理」「品質・安全性」「情報セキュリティ」「事業継続計画」「管理体制の構築」の9項目から構成されています。
併せて、調達部門では「TOPPANグループ人権方針」「TOPPANグループ地球環境宣言 付属書」「パートナーシップ構築宣言」に基づき、サプライチェーンにおける人権尊重・環境保全活動にも取り組み、地球環境や生物多様性に及ぼす影響の回避・最小化のため持続可能な原材料の積極的な利用やBCPの策定を進めています。
「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の構成
TOPPANグループで調達活動に関わるすべての労働者が基本とする方針です。
私たちは、すべてのサプライヤー様・業務委託先様※に対して公平に窓口を開放します。
私たちは、国内外の諸法規を遵守し、企業倫理に基づいた公正な取引を行います。
私たちは、調達活動を通じて得た情報は厳格に管理します。
私たちは、環境保全と環境への負荷軽減に努めます。
私たちは、市場ニーズに応えるためQCD(品質、コスト、供給)を追求します。
私たちは、サプライヤー様・業務委託先様※との相互協力と信頼関係の構築に努めます。
私たちは、サステナブル調達への取り組みをサプライチェーン全体で推進します。
サプライヤー・業務委託先※の皆さまへお願いする項目です。
1. 法令遵守と国際規範の尊重
2. 人権・労働
3. 安全衛生
4. 環境
5. 公正取引・倫理
6. 品質・安全性
7. 情報セキュリティ
8. 事業継続計画
9. 管理体制の構築
- ※
- 本ガイドラインにおいて「業務委託先」とは「協力会社」を意味します。
推進体制・仕組みTOPへ戻る
サステナブル調達の取り組みは、製造統括本部が、各事業所の各関係部門と連携し、各業種のビジネスパートナーと緊密に連携しながら施策を進めます。調達を主管とする部署のみならず事業活動として物品・サービスを取りそろえる全ての部門で取り組みます。
サプライチェーンマネジメント組織図
(2023年3月現在)
関係部門とビジネスパートナーの業種
関係部門 | 主な業種 |
---|---|
生産管理 | 製造委託 |
購買 | 仕入先 |
企画 | 業務委託 |
総務 | 人材派遣 |
主要なビジネスパートナーの選定
TOPPANグループは、以下の考え方で主要なビジネスパートナーを選定しています。この評価は新規および既存のビジネスパートナーに適用されます。
継続的な取引のあるビジネスパートナーを製造委託・仕入先・業務委託・人材派遣の主要4業種に分類し、詳細な業種別にESGリスクを評価します。主要4業種別に、調達金額の90%を占めるまたは国別リスク・業種リスクを持つビジネスパートナーを「主要なビジネスパートナー」に選定しています。
主要なビジネスパートナー選定の考え方
サステナブル調達への会社方針と施策
会社方針 | 方針(詳細) | 想定されるリスク | 管理施策・管理指標 (KPI)対象 |
対象 |
---|---|---|---|---|
TOPPANグループ人権方針 | 人権尊重への取り組み | サプライチェーン上の強制労働・ハラスメントなどの人権問題 | 人権方針の周知・遵守確認 | 主要なビジネスパートナー※1 |
TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン | 調達基本方針 | コンプライアンス違反(下請法違反など)、社会倫理の逸脱 | 調達部門のコンプライアンス教育 | TOPPANグループ内:関係部門 |
調達部門のサステナブル調達ガイドライン教育 | TOPPANグループ内:関係部門 | |||
調達部門のコンプライアンスに関するモニタリング調査の実施と評価 | 主要なビジネスパートナー※1 | |||
サステナブル調達基準 | サプライチェーン上の社会問題化した製品事故・環境問題・法令違反・原材料の供給不足など | 「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の遵守を定めた同意書・取引基本契約書・売買基本契約書の締結、進捗率 | 主要なビジネスパートナー※1 | |
「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の遵守状況の自己評価アンケート | 主要なビジネスパートナー※1 | |||
パートナーシップ構築宣言 | 災害時のビジネスパートナーとの事業継続 | 地震、風水害等の自然災害による資材、設備の供給停止 | ビジネスパートナーの事業継続力の向上(BCPアンケート・勉強会) | 主要なビジネスパートナー※1 |
ビジネスパートナーとの望ましい取引慣行の遵守 | 価格決定方法、金型管理などのコスト負担、支払条件、知的財産、働き方改革などの取引慣行是正が進まないことによる社会的信用の失墜 | 望ましい取引慣行の遵守教育(パートナーシップ構築宣言、取引関連法規の教育) | TOPPANグループ内:関係部門 | |
TOPPANグループ地球環境宣言付属書 | 製品含有化学物質の管理 | 原材料への有害物質の混入による製品安全性の低下 | TOPPANグループ原材料含有化学物質管理基準の周知 | 主要なビジネスパートナー※1 |
生物多様性に及ぼす影響の回避・最小化による天然資源の持続的な利用 | 生物多様性への影響が大きいと考えられる「森林資源」からの紙の原材料である木材の供給停止による製紙メーカー操業停止 | 紙の原料となる森林資源の持続可能な利用のため、合法的に伐採された木材であることの確認 | 取引のある全ての製紙メーカー | |
印刷用紙の供給停止と印刷事業の中断 | 森林資源の持続可能な利用に配慮した用紙調達ガイドラインの周知 | 主要なビジネスパートナー※1 |
- ※
- 主要なビジネスパートナーとは、製造委託・仕入先・業務委託・人材派遣の業種ごとに調達金額90%を占めるまたは国別リスク・業種リスクを持つ継続的な取引があるビジネスパートナーのことです。
サステナブル調達のための取り組みTOPへ戻る
サステナブル調達ガイドラインの展開
「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」をサプライチェーン全体に拡げるため、2022年度から主要なビジネスパートナーと連携して次の施策に取り組んでいます。
・「サステナブル調達ガイドライン」説明会の実施
・「サステナブル調達ガイドライン」遵守の協力同意書・取引基本契約書・売買基本契約書の締結
・ビジネスパートナーへの「サステナブル調達基準」の自己評価アンケートと是正に向けた活動
・ビジネスパートナーの「大規模災害発生時のBCP策定」への取り組み状況確認
また、原材料含有化学物質管理基準を定め、サプライチェーン全体で製品含有化学物質の管理に取り組んでいます。
調達基本方針(調達部門のコンプライアンス推進)
サステナブル調達の取り組みは、TOPPANグループとビジネスパートナーとの信頼関係の上に成り立つものです。取引の透明性・公平性を高め、より深い信頼関係を築くことを目的として「サプライヤーホットライン」を設置しています。これは全てのビジネスパートナーが利用できる通報窓口です。
さらに、TOPPANグループでは調達部門が調達基本方針に基づく適正な対応ができているかどうかをビジネスパートナーへの聞き取り調査(モニタリング)で確認しています。
生物多様性の保全への取り組み
TOPPANグループは「TOPPANグループ地球環境宣言付属書」に基づき、天然資源の持続的な利用に取り組んでいます。原材料調達においては、原材料投入量の7割を占める「紙」の持続的な利用に積極的に取り組むため「用紙調達ガイドライン」を定めています。
さらに、森林資源の持続可能な利用のため、紙の原料となる木材が合法的に採取されたものであるかどうかの確認を製紙メーカーと連携して行っています。
主な活動・関連情報TOPへ戻る
主要なビジネスパートナーの選定
サステナビリティへの取り組みをサプライチェーン全体に拡げるため、主要なビジネスパートナーを選定し、「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の遵守を進めています。
また、主要な製紙メーカーを選定し「紙の原料となる木材の合法性調査」により森林資源の持続的な利用の促進に取り組んでいます。
主要なビジネスパートナーの社数
項目 | 2022年度 | |
---|---|---|
社数 | 全調達金額に占める割合 | |
主要なビジネスパートナーの社数 | 2,998 | 93% |
主要な2次サプライヤー(製紙メーカー) | 10 | − |
合計社数 | 3,008 | − |
ビジネスパートナーとの調達ガイドライン遵守の協力同意書・契約書の締結
サステナビリティへの取り組みをサプライチェーン全体に拡げるため、「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の遵守を定めた協力同意書・取引基本契約書・売買基本契約書の締結を進めています。2025年度までに主要なビジネスパートナーの90%との締結を目指しています。併せてビジネスパートナーの皆さまが環境・社会・ガバナンス関連の活動を理解・把握し今後の取り組みに生かすためにアンケートを実施しています。
環境分野では、個別に「原材料含有化学物質管理基準」や「森林資源の持続可能な利用に配慮した用紙調達ガイドライン」などを設け、取主な活動・関連情報 り組みを進めています。
協力同意書・取引基本契約書・売買基本契約書 取得社数
2022年度 | ||
---|---|---|
目標 | 2,998 | |
実績 | 1,807 | |
締結率 | 60% | |
業種内訳 | 製造委託 | 646 |
仕入先 | 723 | |
業務委託 | 420 | |
人材派遣 | 18 |
- ※
- 「サステナブル調達ガイドライン」説明は、1,807社を対象に実施
自己評価アンケート 取得社数
2022年度 | ||
---|---|---|
目標 | 2,998 | |
実績 | 1,807 | |
取得率 | 60% | |
業種内訳 | 製造委託 | 646 |
仕入先 | 723 | |
業務委託 | 420 | |
人材派遣 | 18 |
TOPPANグループの協力同意書・取引基本契約書・売買基本契約書
TOPPANグループは、企業の社会的責任を定めた「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の遵守を定めた協力同意書・取引基本契約書・売買基本契約書の締結を進めています。
例1)協力同意書 本文(抜粋)
サステナブル調達の趣旨を理解し、TOPPANグループ各社との取引において、サステナブル調達基準を尊重するとともに、当該調達基準またはこれと同等の自社基準等を遵守するものとします。
例2)取引基本契約書(抜粋)
第41条(法令遵守および企業の社会的責任の推進)
調達、製造、販売、廃棄等すべての事業活動を通じて、サステナブル調達ガイドラインを遵守し、自社の取引先に対しても、当該ガイドラインまたは乙の定める同様のガイドラインの遵守を要請するものとする。
ビジネスパートナーへの自己評価アンケート
アンケートでは、ビジネスパートナーの皆さまの環境・社会・ガバナンス関連の活動を理解・把握し、TOPPANグループとビジネスパートナーの皆さまの取り組みに生かしていくことを目的としています。
自己評価アンケートの設問項目(抜粋)
取得している国際認証/方針と規定の策定
1.法令遵守と国際規範の尊重
2.人権・労働
3.安全衛生
4.環境
5.公正取引・倫理
6.品質・安全性
7.情報セキュリティ
8.事業継続計画
9.管理体制の構築
ビジネスパートナーの事業継続計画力の向上(BCPアンケート・勉強会)
ビジネスパートナーが大規模自然災害などによって被災した場合に、いち早く生産活動を再開できるよう事前の準備が必要です。凸版印刷株式会社は2022年9月に公表した「パートナーシップ構築宣言」で、災害発生時の事業継続の観点からビジネスパートナーの皆さまのBCP(事業継続計画)策定支援を表明しています。主要なビジネスパートナーにBCP(事業継続計画)アンケートを実施し、BCP勉強会を開催しました。
2022年度は、248社にアンケートを実施し、そのうち80社がオンラインでのBCP勉強会に参加し討議を行いました。
BCPアンケート実績
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1次 サプライヤー |
2次 サプライヤー |
計 | 1次 サプライヤー |
2次 サプライヤー |
計 | 1次 サプライヤー |
2次 サプライヤー |
計 | ||
アンケート実績 | 48 | 115 | 163 | 63 | 122 | 185 | 25 | 223 | 248 | |
勉強会参加社数 | 13 | 4 | 17 | 14 | 6 | 20 | 7 | 73 | 80 | |
勉強会に参加しアンケート 評価が上がった社数 |
2 | 1 | 3 | 2 | 1 | 3 | 2 | 9 | 11 | |
勉強会に参加しアンケート 評価が上がった社数(累計) |
4 | 8 | 12 | 6 | 9 | 15 | 8 | 18 | 26 |
TOPPANグループ内のサステナブル調達ガイドライン教育
「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」は、事業活動を行う上で必要となる物品・サービスを取りそろえる全ての部署を対象とします。そのため関係部門への「調達ガイドラインの周知教育」を行っています。
また、凸版印刷株式会社は、2022年9月に「パートナーシップ構築宣言」を公表し、ビジネスパートナーとより良い関係構築および取引の健全化に継続的に取り組むことを宣言しました。
調達部門は、「パートナーシップ構築宣言」の教育とともに、調達基本方針の「国内外の諸法規を遵守し、企業倫理に基づいた公正な取引を行う」ことを遵守するために「取引関連法規」に関する教育を受講しています。
TOPPANグループ内 サステナブル調達ガイドラインの周知教育
教育実績 | 2021年度 | 2022年度 | 累計 | |
---|---|---|---|---|
内訳 | 生産管理 | 327名 | 653名 | 980名 |
購買 | 168名 | 302名 | 470名 | |
企画 | ー | 1,019名 | 1,019名 | |
総務 | ー | 155名 | 155名 | |
受講人数 合計 | 495名 | 2,129名 | 2,624名 |
「パートナーシップ構築宣言」「取引関連法規」の教育
教育実績 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|
受講人数 生産管理 | 2,592名 | 777名 | 2,644名 |
調達部門のコンプライアンスに関するモニタリング調査
調達部門が、調達基本方針に基づく適正な対応を取れているかどうかを確認するため、主要なビジネスパートナーへ定期的な聞き取り調査(モニタリング)を実施しています。2022年度は、ビジネスパートナー10社にTOPPANグループの調達活動に関するアンケートを実施し、その結果に基づいて調達活動の改善を行いました。
モニタリング実績
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
回答いただいたビジネスパートナーの社数 | 17 | 10 | 10 |
累計社数 | 151 | 161 | 171 |
紙の原料となる木材の合法性調査
TOPPANグループは2022年3月に「TOPPANグループ地球環境宣言付属書」を発行しました。この文書では「原材料調達においては、生物多様性に及ぼす影響を回避・最小化し、天然資源の持続可能な利用に取り組むこと」と定めています。原材料投入量の7割を占める「紙」の調達では、「紙の原料となる木材の合法性調査」により森林資源の持続可能な利用の促進に取り組んでいます。
この調査では、全体の購入金額比率で90%以上を占める製紙メーカー各社へ紙の原料となる木材が合法的に採取されたものであるかを確認しています。2022年度は、購入金額の97.4%にあたる国内外の製紙メーカー10社16拠点を対象に調査を実施し、その全ての木材が合法的に採取されたものであることを確認しました。
紙の原料となる木材の合法性調査実績(購入金額比率で90%以上を占める製紙メーカー)
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
調査した会社数※ | 13 | 13 | 10 |
購入金額比率 | 90.0% | 91.8% | 97.4% |
合法性を確認した割合 | 100% | 100% | 100% |
- ※
- 直近3年間でリスク評価の高い製紙メーカーを対象