高田康太郎:2006年駒澤大学卒業後、凸版印刷入社。入社後はパッケージ事業部にて菓子食品業界のクライアントを中心に営業し、包装資材基礎知識と企画提案型の販売戦略を経験。現在はSX推進センター SX事業開発本部 マーケティング部にてサステナブル包材戦略に従事。2023年4月にはサステナブル マテリアル展基調講演登壇。包装管理士。

入社以来一貫してパッケージを担当

パッケージという観点から、次世代に持続的な社会を残すことが、私の使命です──。

そう語るのは、生活・産業事業本部 SX推進センター SX事業開発本部 マーケティング部部長の高田康太郎です。TOPPANグループは医療や食品、消費財、産業資材など、あらゆる業界で活用されている世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルム『GL BARRIER』をはじめ、多様なパッケージを開発・提供しています。そんなTOPPANグループのパッケージを日本に、世界に広めるべく活動しているのが、高田です。

とはいえ彼は、もともとパッケージ関連の知見があったわけではありませんでした。

「私は学生時代、広告代理店でカタログの編集作業などのアルバイトをしていたんです。そのときに印刷会社の仕事を知って興味をもち、新卒として凸版印刷に入社しました。

そんな経緯だったので、配属希望は当初、全然別の部署に出していたんです。ですが蓋を開けてみたら、希望とは異なるパッケージの担当でした。残念な思いもあったのですが、私は負けず嫌いな性格なので『とにかく1回パッケージを勉強しよう。圧倒的に知識を身に付けてやろう』とすぐに気持ちを切り替えて、仕事に向き合うことにしました。」(高田、以下同様)

これが、新卒からこれまでずっとパッケージを担当することになる高田の、パッケージとの出会いでした。

パッケージの開発にクラウドシステム。
あらゆる手法で環境に貢献する

そんな高田は現在、パッケージの環境配慮や資源循環といった戦略策定や、開発支援、営業販促活動などに携わっています。TOPPANグループでは、これまでパッケージを通して様々な社会課題解決に寄与してきました。中でも近年の地球規模での環境問題を背景に、TOPPANグループは原材料・製品・サービスの製造・使用・廃棄段階までライフサイクル全体を考慮し、資源消費量や排出物量を計量し、その環境への影響を評価する手法であるLCA(ライフサイクルアセスメント)を用いて環境負荷を定量的に評価することで、環境・機能面で最適なパッケージをお客さまに提案する取り組みを強化しています。

その取り組みの一環として開発したのが、パッケージのCO₂排出量を誰でも簡単に算定できるクラウド型システム『SmartLCA-CO₂ ®』です。これを使うことでお客さまは、使用している商品の包装資材のCO₂排出量を、自ら商品ごとに定量的に算出できるようになります。

「TOPPANグループのお客さまにも、環境目標を掲げ、脱炭素や、資源循環の動きを加速させている企業が増えてきました。パッケージのコストや機能だけではなく、CO₂排出量の削減率などを提示し価値を見える化をすることで、お客さま、社会全体の環境改善に貢献できる。そう考えて、我々はクラウドシステムの開発にも乗り出しました。このように我々は、パッケージを通して環境に貢献するため、あらゆる手を尽くしていきます。」

お客さま・消費者・社会も巻き込んだ課題解決を

現代においては、消費者も企業も、環境に対する意識を強めています。とはいえ、消費者の意識が高まれば企業が変わり、企業が変われば消費者の意識も高まるという「ニワトリ・タマゴ」の状態にあることもまた事実。環境意識を高めなければならないのは間違いない。でもどこから取り掛かるかは難しい。この難しい問題を、高田はどう考え、行動しているのでしょうか。

「私個人としては、先に変わるべきは消費者でなく、企業だと考えています。国や企業が、サステナビリティに先行投資して市場を変えていくことで、消費者がサステナビリティを認知し、社会が変わっていく。消費者が変わるのは最後でいい。そう考えています。

ではそのためにTOPPANグループとして何ができるか。なぜこの包材にGL BARRIERを使うのか、そもそもなぜCO₂ 排出量を減らさなくてはならないのか。こういったことを我々がパッケージを通して、お客さま、消費者に伝え続けることで、社会全体の意識を変えていけるのだと信じ、活動しています。」

消費者からではなく、企業から環境への意識を変えていく。そう述べる高田ですが、現実は簡単ではありません。

しかしそこはTOPPANグループの総力を結集して対応していきます。パッケージだけでなく、販促やデジタルマーケティング、またはリサイクルやアップサイクルといった、様々な観点からお客さまを支援することこそが、企業、消費者の意識を変えていけるのです。

「組織の力を結集して、多方面から課題解決に向き合えるのは、TOPPANグループの利点です。とはいえ環境分野の課題はスケールが大きすぎるあまり、我々だけでは解決できないものも山ほどあります。TOPPANグループ、お客さま、消費者、同業他社も巻き込まないと、環境課題は解決できません。この難題をどう乗り越えて、解決するか。それが私のミッションであり、挑戦です。」

これまではCO₂ やプラスチックを削減するという文脈での活動が多かったTOPPANグループですが、今後は、パッケージの中にリサイクルされたフィルムを使うことで資源循環に貢献するなど、サーキュラーエコノミー(循環型社会)に沿ったパッケージ開発にも力を入れていく予定です。

慎重さと大胆さを兼ね備えた企業文化で、サステナブルな社会の実現を

持続可能な社会を実現すべく、多方面に奔走する高田。彼はその先に、どんな未来を想像しているのでしょうか。

「私や仲間には子どもがいて、彼・彼女らが大人になったとき、いえ、それ以降も地球はサステナブルな状態でなくてはなりません。そのためには、パッケージやそれに含まれるプラスチック、CO₂ にまつわる課題解決は、絶対に解決する必要がある。これらの問題を解決し、未来に繋げることこそが、我々の責務です。」

次世代にサステナブルな状態で環境を残す。そのためにはTOPPANグループも、変わっていかなくてはなりません。

「医療や食品といった、安全性が特に重視される分野のパッケージを扱っていることもあって、私達は普段は慎重に慎重を重ねて行動することを是としています。これは非常に良い面ではあるのですが、ともすれば、決まったルールの中でどう頑張るかという狭い視野に陥ってしまう可能性があるんです。どういうルールを作るべきか、どういう枠組みが最も効果を発揮できるのか。大局的な視点から環境課題解決に貢献する。今後はこの視点も忘れずに、仕事に向き合っていきたいと思います。」

子どもたちのためにサステナブルな状態で環境を残すことが、モチベーション。慎重さは大事だが、社会課題を解決するためには大胆さも必要。この気持ちを携え、高田、そしてTOPPANグループは、パッケージを通した社会課題解決に貢献していきます。



※2023年10月公開。所属等は取材当時のものです。

企業の「やりたいこと」は、
CX・DX・EXの連携で実現する。
数多くのクライアントの
ビジネス変革を支援