基本的な考え方TOPへ戻る

人権は、事業活動やサステナビリティの取り組みを推進するにあたり、最も重要なテーマだと考えています。
TOPPANグループは、「人間尊重」の精神を基本に事業活動を行っており、この基本精神を基に、2021年10月に「TOPPANグループ人権方針」を策定しました。この「人間尊重」の取り組みを確実に実行していくため、行動の規範である「TOPPANグループ行動指針」で、人格と個性の尊重、差別行為やハラスメント行為の禁止、児童労働・強制労働の禁止、ダイバーシティ&インクルージョンの推進など、基本的人権を尊重することを定めています。
また、「TOPPANグループ地球環境宣言」や「生物多様性に関する基本方針」に基づき環境保全活動を行うなど、事業活動が地域の人々の生活に悪影響を与えることによって人権侵害が発生しないように配慮した取り組みを推進しています。

国連「グローバル・コンパクト」の「人権」への支持

TOPPANグループは、2006年から国連「グローバル・コンパクト」に参加し、人権と労働にかかわる6つの原則を支持しています。

「TOPPANグループ人権方針」

TOPPANグループは、創業以来、「印刷テクノロジー」をベースに印刷事業にとどまらず、時代や人々のニーズに応じて多種多様な社会課題を解決してきました。その土台となる基本精神は「人間尊重」です。事業活動全般において、基本的人権を尊重し、「社会的価値創造企業」の実現を目指していくため、「TOPPANグループ人権方針」を定めています。

「TOPPANグループ人権方針」の構成
1.
人権に対する基本的な考え方
2.
適用範囲
3.
適用法令
4.
人権尊重の責任
5.
人権デューデリジェンス
6.
対話・協議
7.
救済
8.
教育・研修
9.
責任者
10.
情報開示

(個別課題への取り組み)

  • 児童労働、強制労働、人身取引
  • 差別およびハラスメント
  • ダイバーシティ&インクルージョン
  • 団体交渉権および結社の自由
  • 労働安全衛生
  • プライバシーに対する権利

推進体制TOPへ戻る

人権尊重の取り組みは、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」の下部に設置されている、部門横断でサステナビリティ活動を推進する「コーポレートESG プロジェクト」が主管しており、「人的資本WG」が中心となって人権尊重の取り組みをグループ全体で進める体制を構築しています。重要な人権テーマについては、取締役会が監督し、人事労政本部の担当責任者が実施の責任を担います。日々の人権尊重への取り組みは、人事労政本部、製造統括本部、法務本部が中心となり、TOPPANグループ全体の関係部門と連携して推進しています。

人権デューデリジェンスTOPへ戻る

TOPPANグループは、「ビジネスと人権に関わる指導原則」を支持するとともに、人権デューデリジェンスの重要性を認識しています。「TOPPANグループ人権方針」の策定に伴い、業界における人権リスクを洗い出し、評価し、5つの人権リスク特定を行いました。
2023年度は、特定した5つの人権リスクを中心に、TOPPANグループのステークホルダーへの調査・ヒアリングを実施しました。グループ会社に対しては、国内72社、海外100社へ書面での人権リスク調査・分析に加え、国内8社、海外1社に対して、現地ヒアリングを実施し、実態の把握に努めました。サプライチェーンに対しても、自己評価アンケートを実施し、その結果を基にヒアリング調査を行っています。加えて、人権リスクになり得る項目についてフィードバックならびに改善策の例示を行い、人権リスク軽減に向けた取り組みを進めました。調査・分析結果については、取締役会およびサステナビリティ推進委員会に報告し、今後の取り組みについて議論を行いました。
また2023年度も引き続き、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが主催する「人権デューデリジェンス分科会」「人権教育分科会」に参加し、社会動向・先進企業の取り組みへの理解を深めました。

人権デューデリジェンスプロセス

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一般的な人権課題と当社業界における人権リスクの特定
人権課題/対象 自社従業員 サプライチェーン 顧客 ユーザー 周辺コミュニティ
強制労働・人身取引
児童労働
差別
非人道的な扱い
結社の自由・団体交渉権
労働時間
賃金
プライバシーに対する権利
倫理的/責任あるマーケティング
表現の自由
AIと人権
製品の安全・品質
周辺住民の健康
土壌、水などの衛生
先住民の権利
当社事業の特性や同業者の動向、国際的な人権基準を基に、「人権リスク重要度評価」を行い、人権課題を整理・評価しました。その結果、当社の人権リスクは赤字の4つに加え、「グループ全体の人権ガバナンス」と特定しました

人権デューデリジェンス結果データ

2023年度 TOPPANグループ人権リスク調査の概要
日本国内 海外
調査対象 72社 100社
実施期間 2023年7月~12月 2023年10月~2024年3月
調査方法 人権リスク調査票による調査
調査内容

4区分、22項目、149問

Red Flag( )は、ILO中核的労働基準の5分野(強制労働、児童労働、差別、結社の自由と
団体交渉権、労働安全衛生)とTOPPANグループが特定した5つの人権課題(強制労働・人身取引、差別、
非人道的な扱い、プライバシーに対する権利、グループ全体の人権ガバナンス)
が対象で、重要なリスク要因やリスク低減策未実施を明確化するために設定
結果(総評)
  • 喫緊に対応しなければならない重大なリスクは発見されず、
    前年比で対応状況は向上した。
  • 喫緊に対応しなければならない重大なリスクは発見されず、
    前年比で対応状況は向上した。
結果(人権推進体制)
  • 社外を含めた人権に関するリスクマネジメント体制は特に
    改善が見られた。
  • 人権に対する教育実施に改善が見られた。
  • 人権に関するマネジメントについて社内体制では改善が
    見られたが、社外の体制整備は十分とは言えない恐れがある。
  • 人権に対する教育実施の改善が見られた。
結果(人権課題対応)
  • 労働安全衛生管理が十分にできているとは言えない恐れがある。
  • 過去1年間におけるハラスメント等の事案発生が複数確認されたが、
    発生時の懲戒措置等適切な対応が取れていることを確認した。
  • 労働安全衛生管理が十分にできているとは言えない恐れがある。
  • 事業の特性上、顧客の個人情報を取得し、取り扱う事業該当会社が多く、
    プライバシーに対するリスクが多くの会社で付きまとう。ただし、
    併せてリスク低減策実施の徹底も確認できた。
結果(管理)
  • 外部関係者との対話不足は改善されたが、引き続き向上を図る必要がある。
  • 取引先に当社方針の周知や人権リスクアセスメントを十分に
    できているとは言えない恐れがある。
  • 外部関係者との対話が十分にできていない恐れがある。
  • 外部向け苦情処理メカニズムが十分に整備されていない恐れがある。
  • 取引先に当社方針の周知や人権リスクアセスメントを実施できて
    いない恐れがある。

フォローアップ調査の概要

人権リスク調査の結果を詳細に分析したところ、喫緊に対応しなければならない重大なリスクや現地法令や国際規範への違反は発見されませんでした。その中でも、人権への負の影響を及ぼす可能性が少なからずある会社を優先的に選定し、国内8社、海外1社について、2023年度中に下記の通り対策を進めました。2024年度も引き続き対応を進めていきます。

日本国内 海外
対応拠点数 8社 1社
実施時期 2023年10月〜12月 2024年3月
実施方法 現地訪問によるヒアリング等 現地訪問によるヒアリング等
懸念事項
サプライチェーンへの人権管理体制が十分でない
人権関連教育の実施が十分でない会社がある
労働安全衛生管理が十分でない事項がある
情報セキュリティ管理が十分でない事項がある
内部通報制度が整備されているものの周知が不十分
是正措置
TOPPANホールディングスのサプライチェーンの人権管理体制について情報共有し、各社での管理体制強化を指導
人権関連教育の再徹底、グループ内での教育内容の周知
確認された事項への対応策を即時指導
情報セキュリティ管理のGood Practiceを共有、対応策を指導
従業員向け研修の実施を指導

苦情処理メカニズム

TOPPANグループの事業活動が、人権に対する負の影響を引き起こしたことが明らかとなった場合、もしくは助長したことが明らかになった場合は、適切な手段を通して是正、救済措置に努めます。また、取引関係においてTOPPANグループが人権への負の影響に直接関係している場合は、関連するステークホルダーと協働して、 是正に向けた役割を果たすことに努めます。
TOPPANグループは、万が一、人権侵害にかかわる事案が発生した場合に、従業員が内部通報できる窓口として、「TOPPANグループ・ヘルプライン」を設置しています。また、取引先への人権侵害などの事案があった場合に、取引先が匿名で通報できる窓口として「サプライヤーホットライン」を設置しています。

人権教育・ハラスメント防止策TOPへ戻る

TOPPANグループは「人間尊重」の基本精神を謳い、従業員に対し、様々な人権教育を行っています。
従来から新任の管理・監督職層に対してハラスメント防止に向けた人権教育を継続的に実施してきましたが、2020年4月に凸版印刷労働組合と「ハラスメント防止に関する労使協定」を締結したことから、全従業員に対し、「職場におけるハラスメントの防止に向けて」の教育を実施しました。また、TOPPANグループの人事労政部門において職場のハラスメント相談窓口を設置し、相談員を育成するなど、ハラスメントの予防にあたるとともに、厳正に対処しています。万が一、ハラスメントが発生した場合は、関係者から事情聴取を行うなど適切に調査を実施し、加害者に対して懲戒処分を行うなど迅速に問題の解決を図っています。
職場ごとに選任された行動指針推進リーダーにおける行動指針の啓発活動の中でも、人権に関連する事例を取り扱い、人権意識の向上を図っています。

労働者の人権TOPへ戻る

労使での人権への取り組み

労働における人権については、労働組合等と協議・合意した内容を基本的な考え方として様々な施策を行っています。
労使関係の安定と労働条件の維持改善、企業の平和を確保するために、労働組合等と協議・合意をすることで、労使の基本的な考え方、組合活動や労使交渉のルール、賃金・労働時間などの労働条件を定めています。

適正な労働環境の実現に向けて

TOPPANグループでは、事業所ごとに労働時間の情報および対応策について、毎月労使委員会を開催し、協議することで、慢性的・恒常的な長時間労働の点検・改善を実施しています。また、就業管理システムを通じた本人、上長に対する労働時間アラートの発信や、オフィスの自動消灯、自動PCシャットダウンなどの施策も実施し、時間外労働の低減を図っています。
加えて、ニューノーマルな働き方に適応し、自律的な働き方を推進する「スマートワーク制度」「リモートワーク制度」の導入や、オフィス環境を外出先でも実現するスマートデバイスの配布等を展開し、ソフト、ハードの両面を通じて、従業員個々人が自律的な働き方を実現できる、適正な労働環境の構築に向けた取り組みを行っています。

労働安全衛生の取り組み

全国の事業所に、安全師範や安全担当者、技術安全推進担当者などを配置する安全推進体制を構築するとともに、「安全は全てに優先する」ことを謳った「安全衛生・防火基本方針」に則り、正社員および契約社員をはじめとする職場で働く全ての人々を対象に、リスクアセスメントによる設備の本質安全化や職長教育を中心とした各種教育の徹底などを進めています。また、危険を理解・体感できる「安全道場」を国内外7拠点に開設し、TOPPANグループとしての安全活動をより強化し、災害予防活動を継続しており、これまでのべ39,968名を超える対象者に教育を実施しています。加えて、メンタルヘルス対策に関しては会社、産業医、健康保険組合が連携し、「ゼロ次予防」を推進して、「メンタル不調者を出さない職場づくり」に取り組んでいます。

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み

TOPPANグループは「社会的価値創造企業」へのさらなる進化を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンを重要な経営戦略のひとつと位置付けています。互いを尊重しあう感性とたゆまない対話を通じて、一人ひとりの人権が尊重され、安心して発言・行動できる心理的安全性の高い職場づくりを実践しています。仕事と育児・介護の両立支援、障がい者雇用の促進、女性活躍に向けたポジティブアクションの取り組みを進め、障がい者雇用率、女性の管理・監督職者数も増加しています。
また、性の多様性(SOGI・LGBTQ)に関する取り組みを進めており、グループ全体に向けたセミナーの開催、同性パートナーや事実婚パートナーにも配偶者関連制度を適用する「同性パートナー制度」の導入や、TOPPAN ALLY表明を募る等、誰もが安心して自分らしく働ける環境を一人ひとりが意識してつくっていく活動を展開しています。

適切な賃金の支払いの取り組み

TOPPANグループでは、各国の最低賃金を定めた法令に従い、現地の生活物価を踏まえ、従業員に適正な給与を支払うことを遵守しています。金銭的報酬に加えて、法令で定める福利厚生を提供するほか、働きがいの向上や自己実現・キャリア開発に対する会社の支援・サポート等の非金銭的報酬についても配慮しています。また、TOPPANホールディングスの2023年度の平均年間給与は756万円でした。従業員の賃金は、従業員の能力、役割等に応じた報酬体系となっており、従業員の性別による違いを設けていません。国内グループでも同様のレギュレーションにて報酬の決定を行っています。なお、日本労働組合総連合会が発行する「2021連合リビングウェイジ報告書」および「連合リビングウェイジ(2023簡易改定版)」と比較して、TOPPANホールディングスおよび国内グループ会社が従業員に支払っている2023年度給与が生活賃金を上回る設計となっていることを2024年にセルフチェックして確認しました。

連合リビングウェイジとは、労働者が健康で文化的な生活ができ、労働力を再生産し社会的体裁を保持するために最低限必要な賃金水準を日本労働組合総連合会が独自で算出したものである
1.食糧費、2.住居費、3.光熱・水道費、4.家具・家事用品、5.被服・履物、6.保健・医療費等、7.交通・通信費、8.教育費、9.教養・娯楽費、10.その他(社会的交際費、小遣い)の10項目の必要生計費に、税・社会保険料と自動車関係費を考慮して算出
TOPPANグループ 従業員報酬の男女比
会社名 管理職に占める女性労働者の割合 2023年度 労働者の男女の賃金の差異(女性平均賃金/男性平均賃金)
全労働者 うち正規雇用労働者 うちパート・
有期労働者
全正規労働者 うち管理職
TOPPANホールディングス 11.4% 75.8% 75.3% 99.1% 50.0%
TOPPANホールディングスおよび国内連結子会社 6.6% 60.3% 72.7% 95.3% 53.9%
アジア地域連結子会社(日本除く) 27.7% 81.2% 79.5% 87.9% 125.1%
北米地域連結子会社 32.4% 88.7% 89.6% 74.1% 77.7%
欧州地域連結子会社 34.2% 87.7% 86.9% 77.2% 110.1%
TOPPANホールディングスおよび連結子会社 12.3% 65.5% 72.8% 98.3% 63.0%
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。海外現地法人に関しては、上記基準に照らし、基準に準じた方法にて算出しています
賃金には賃金、給料、手当その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものを含めています
TOPPANホールディングスおよび連結子会社の集計は、加重平均にて集計を行い、海外現地法人にて算出された平均賃金を2024年3月31日時点のレートにて、日本円に換算した上で加重平均を行い、算出しています
「労働者の男女の賃金の差異」は、各社の事業年度において集計したものであり、TOPPANホールディングスの事業年度と異なる場合があります
平均年間給与
平均年間給与
2019年度 6,811,464円
2020年度 6,775,518円
2021年度 7,001,363円
2022年度 7,060,291円
2023年度 7,568,204円
2022年度までは凸版印刷株式会社、2023年度はTOPPANホールディングス株式会社を対象としています

TOPPAN株式会社 初任給について

2024年4月1日付入社の大卒新入社員の初任給は全国一律で233,500円(時給換算:1,465円)としています。

大卒新入社員の初任給
初任給
2020年4月 211,000円
2021年4月 213,000円
2022年4月 214,500円
2023年4月 222,500円
2024年4月 233,500円

開かれた採用環境の提供

人財の採用については、国籍、性別、年齢、障がいの有無にとらわれない採用を行っています。企業説明会やホームページなどの媒体を通じて働き方を幅広く周知し、多様な人財を採用しています。
また、採用選考にあたっては、公正な採用活動に向け、採用面接官向けの「採用マニュアル」を作成し、面接官に内容を周知し遵守するよう面接官教育を実施しています。「採用マニュアル」には、特に採用にあたって、就職差別につながる恐れのある不適正質問をしないよう、不適正質問集を取りまとめ、周知徹底を行っています。加えて、個人情報を取り扱う面接官に対し、応募者の情報取り扱いに対する誓約書の締結を求める等、応募者の人権保護に配慮した採用活動を徹底しています。

技能実習制度の適正な運用について

TOPPANグループで就労している外国人技能実習生に対する人権リスクについての調査を実施しています。具体的には、「技能実習制度運用要領」に基づいた対応がなされているか、労働環境、生活環境に問題はないかという観点でTOPPANグループ独自のチェックシートを作成し、現地の総務スタッフと連携の上、実態調査を行い、2023年度には、製造子会社2社5工場において技能実習制度の利用を確認しました。
労働契約の締結については、母国語または外国人技能実習生が理解できる言語にて説明を行っていることに加え、賃金の未払いや長時間残業の実態もなく、労働時間に応じた適正な賃金の支払いが行われていることを確認しています。また、生活環境においても従業員に相当する住環境が確保されていました。

合併や経営統合等に伴う、新たなビジネスにおける人権リスクの特定

TOPPANグループでは、合併や経営統合等に伴うデューデリジェンスプロセスにおいて、労働安全衛生管理の内容、非人道的行為、結社の自由の実態確認など人的側面におけるリスク評価も併せて行っています。加えて、当社グループに加入した後は、人権リスク調査の対象とし、人権リスクの軽減・防止措置を講じるよう努めています。
2023年度のリスク評価においては、対処すべき重大なリスクは発見されませんでした。

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