TOPPANグループのサステナビリティ戦略
事業を通じた社会課題解決の方向性TOPへ戻る
TOPPAN グループは、グループ理念「TOPPAN’s Purpose & Values」のもと、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、当社グループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX」と、事業を通じた社会課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX」により、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーとして企業価値向上とサステナブルな社会の実現を目指しています。その一環として、事業ポートフォリオを変革し、経営基盤の強化とESGの取り組み深化を推進しています。
2023年度を初年度とする中期経営計画において、2026年3月期には「DX」「SX」関連を含む成長事業の営業利益構成が全体の過半となるよう変革を進めています。
ESGの取り組み深化の観点では、2030年までの長期視点で、事業活動マテリアリティ「環境」「まち」「ひと」の3つのテーマおよびその注力分野「TOPPAN Business Action for
SDGs」、事業活動マテリアリティ「環境配慮・持続可能な生産」「従業員の健康・働きがい」、それぞれを中期経営計画に織り込み、中期経営計画の事業ポートフォリオ変革とも連動して取り組みを進め、「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」の実現に貢献していきます。
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マテリアリティの選定
TOPPANグループは事業を通じた社会課題解決への取り組みをさらに加速させるため、サステナビリティ活動において特に注力すべきマテリアリティ(重要課題)を選定しました。事業活動を通じて重点的に取り組むべき課題を「事業活動マテリアリティ」、良き企業市民を目指して企業活動全体で取り組む課題を「全社活動マテリアリティ」としています。
マテリアリティ選定基準
マテリアリティの選定にあたっては、「TOPPAN VISION 21」の「企業理念・経営信条・行動指針」を出発点とし、「事業領域」における市場・顧客、技術・ノウハウの視点を盛り込みながら、そこに長期的視点でグローバルな社会課題を示したSDGsの考え方を取り入れました。TOPPANグループの技術やノウハウを活用することで、新たな価値を創造し、SDGsに貢献できる課題設定となっています。
選定プロセス
選定基準をもとに、関連部門との意見交換を通じ企業活動を網羅的に精査してマテリアリティを選定し、さらに社外有識者やステークホルダーへのヒアリングによって妥当性の検証を行いました。経営層との議論および意見交換を経て、最終的には取締役会での承認により決定しています。
社会への貢献度とTOPPANグループのリソース活用度の2軸で重要度を整理し、加えて企業と環境・社会の相互影響(環境・社会課題が当社に与える影響、企業活動が環境・社会に与える影響)を考慮し、マテリアリティを特定しています。選定したマテリアリティは、少なくとも3年に一度、中期経営計画策定のタイミングで見直しを行います。
マテリアリティの考え方

マテリアリティの選定プロセス

TOPPANグループのマテリアリティ
テーマ | SDGsとの関係 | |
---|---|---|
事業活動マテリアリティ (事業活動を通じて重点的に取り組む課題) |
環境(サステナブルな地球環境) |
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まち(安全安心で豊かなまちづくり) |
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ひと(心と身体の豊かさと人のエンパワーメント) |
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|
全社活動マテリアリティ (良き企業市民を目指して企業活動全体で取り組む課題) |
環境配慮・持続可能な生産 |
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従業員の健康・働きがい |
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事業活動マテリアリティ
● 環境(サステナブルな地球環境)
●
まち(安全安心で豊かなまちづくり)
●
ひと(心と身体の豊かさと人のエンパワーメント)
事業活動マテリアリティの3つのグループは、それぞれが「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」に貢献するものです。
また各グループが相互につながることで、その活動はさらに広がっていきます。
全社活動マテリアリティ
● 環境配慮・持続可能な生産
●
従業員の健康・働きがい
全社活動マテリアリティの2つのグループは事業活動の基盤として、事業活動マテリアリティの3つのグループをしっかりと支えます。
従業員の評価
TOPPANグループでは「事業部業績評価制度」において、評価項目のひとつとして「温室効果ガス排出量削減目標」に対する達成度が設定されています。
また、「事業部業績評価制度」は、事業部を担当する事業部従業員(執行役員、管理職含む)の賞与を決める評価要素に組み込まれています。
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事業活動マテリアリティの取り組み
事業活動マテリアリティへの取り組みをさらに加速させるため、2020年に「TOPPAN Business Action for
SDGs」を策定、公表しました。事業活動マテリアリティの中でも特にTOPPANグループがもつ独自の技術・ノウハウ、強みを発揮できる領域を中心に、2030年の社会を想定したバックキャスティングの考え方で、9つの注力分野を特定しました。
さらに、2021年には、注力9分野における2025年度、2030年度の目標値を定め、具体的な取り組みを加速させています。
9つの注力分野「TOPPAN Business Action for SDGs」策定

「TOPPAN Business Action for SDGs」の概要
【環境 サステナブルな地球環境】
気候変動や海洋プラスチックごみなどの環境課題に対し、環境配慮のものつくりの強みと、マーケティングプロモーションや多くのパートナーとの協働などによるコトづくりの力により、「資源循環」「温室効果ガス削減」につながる商材・サービスの開発・提供、そして新たな事業の創出に取り組み、2030年も、その先も、私たちが変わらず豊かなくらしを続けられるように「サステナブルな地球環境」の実現に貢献します。
【まち 安全安心で豊かなまちづくり】
デジタル化に伴うセキュリティリスクや国内人口減少・都市人口集中によるまちの未来にかかわる多くの社会課題に対し、高度なデジタル・セキュア技術やVRなどのメディア開発の推進により、その地域に最適な安全で利便性の高いサービスを提供し、「安全安心で豊かなまちづくり」に貢献します。
【ひと 心と身体の豊かさと人のエンパワーメント】
少子高齢化が進行する先進国での医療費増大、地球人口の増加による食糧不足、社会変化に対応する教育環境などの課題に対し、ヘルスケア関連サービスや機能性パッケージ、教育コンテンツなどの開発力やものつくりの強みを活かし、心身の豊かさを後押しするサービスや商品を開発するとともに、企業などの組織がそこに属する人々の健康をサポートするための仕組みを提供し、「心と身体の豊かさと人のエンパワーメント」に貢献します。
マテリアリティ選定におけるリスクと機会
事業活動マテリアリティ選定において、リスクと機会両面から検討の上、選定および各マテリアリティの推進を行っています。
リスク | 機会 | マテリアリティ |
---|---|---|
資源枯渇や廃棄物規制によるコストの増加 | 資源循環型ビジネス対応による競争力の増加 | サーキュラーエコノミーの実現 |
環境法規制の強化によるエネルギーコストの増加 | GHG排出削減に対応することによる市場競争力の増加 | 脱炭素社会の実現 |
環境への配慮が特に不足する製品に対する顧客など市場からの排除 | 環境法規制に対応した材料提供による競争力の拡大 | エコプロダクツ・ソリューションの拡大 |
情報漏えいの危機感やデータ信頼性に対する社会要請の高まり | Webサービスに対する高度なセキュリティ技術の競争力の増加 | 私らしく生きられる安全な社会の創造 |
高齢化の拡大や過疎化による行政サービスの地域差の拡大 | 持続可能な街づくりや容易にアクセス可能な行政サービスへのニーズの高まり | 地域に暮らす人々の生活の質向上への貢献 |
紛争や気候変動による人、社会、地域などの歴史的な文化、文化財の消失 | 世界の人々の他国、自国の歴史や文化的伝統の理解、興味の高まり | 文化を「魅せる・未来に残す」への貢献 |
世界人口の増加に伴う食糧危機や食品ロスによる廃棄物の増加 | 賞味期限、消費期限の長い食品へのニーズの高まり | 食品ロス削減による飢餓撲滅への貢献 |
教育機会の喪失による人的資本の枯渇 | 誰もが容易にアクセス可能な教育環境へのニーズの高まり | ハードルのない教育環境の創造 |
高齢化による医療費の増加や医療格差の拡大 | 医師不足解消や医師の働き方改革に対する要求の高まり | 革新的なヘルスケアサービスによる健康への貢献 |
事業活動マテリアリティ:取り組み目標と実績(「TOPPAN Business Action for SDGs」の活動内容と目標)
赤文字の項目は、指標の変更もしくは目標値の修正を行った箇所 ※の目標値は過去からの累積数、それ以外の目標値は単年度としている
全社活動マテリアリティ:取り組み目標と実績
〈環境配慮・持続可能な生産〉
持続可能な社会の実現に向け地球環境課題への長期的な取り組み方針を定めた「TOPPANグループ環境ビジョン2050」「TOPPANグループ2030年度中長期環境目標」に基づき、サプライチェーンを含むバリューチェーン全体で取り組んでいます。
脱炭素社会への貢献
エネルギー使用の合理化およびエネルギー管理を主とし、合わせて再生可能エネルギーの利用、普及促進に積極的に取り組み、2050年度にScope1+2および3における温室効果ガス排出の実質ゼロを目指します。
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2030年度目標 |
---|---|---|---|
Scope1+2における温室効果ガス削減 (2017年度比) |
32.7%削減 (再エネ比率2.5%) |
28.7%削減 (再エネ比率3.5%) |
54.6%削減 (再エネ比率25%) |
Scope3における温室効果ガス削減 (2017年度比) |
17.3%削減 | 11.2%削減 | 54.6%削減 |
生物多様性の保全
自然資本の持続可能な利用に向けて、生物多様性への脅威の縮小や世界の陸域・海域の30%保護を目指す目標に取り組み、豊かな自然の保全と社会経済活動が両立する自然共生社会を目指します。
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2030年度目標 |
---|---|---|---|
用紙原料の調達における合法性100% | 100%※1 | 79.7%(重量割合)※2 50%(社数割合)※2 |
2025年度100%※2 |
社内外自然共生地域の保全への貢献※3 | 4% | 4% | 10% |
- ※1
- TOPPAN株式会社
- ※2
- TOPPANグループ全体
- ※3
- TOPPAN株式会社および製造設備を保有する子会社の拠点面積を基準に設定
資源循環型社会への貢献
循環型社会形成を重要な経営課題と位置付け、事業活動に伴って生じる廃棄物などの排出抑制、排出される廃棄物などの再使用・再資源化により、2050年度に廃棄物のゼロエミッションを目指します。
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2030年度目標 |
---|---|---|---|
廃棄物最終埋立量(2017年度比) | 43.4%削減 | 50.0%削減 | 60%削減 |
廃プラスチックのマテリアルリサイクル率 (2017年度比) |
6%pt減少 | 1%pt減少 | 9%pt増加 |
水の最適利用
安全な水は生産活動や生物多様性保全に必要な資源のため、水ストレスの高い事業所の節水対策と排水の汚染防止に取り組み、最適な水利用の実現と水質汚染防止による水質改善に貢献します。
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2030年度目標 |
---|---|---|---|
水リスクの高い拠点※1の取水量削減目標達成拠点数 | 0%(0件)※2 | 0%(0件) | 50%以上(4件) |
規制値超過による行政措置 | 0件 | 1件 | 0件 |
- ※1
- 水ストレス40%超の拠点
- ※2
- リスク評価方法見直し中
〈従業員の健康・働きがい〉
中長期の重点施策である事業ポートフォリオ変革に向け、DX事業の推進・生活系事業の海外展開(SX事業・グローバル事業の展開)・新事業の創出に注力しています。これを支える人財の確保や育成を重要な経営課題と認識し、TOPPANグループの中長期的な価値創造に資する「人財」への投資や様々な人事諸施策を推進しています。
人財開発プログラムの構築
多彩な人財開発プログラムの実施や、人財のグループ内流動化施策を展開し、事業ポートフォリオ変革を支える人財の確保・育成に努めています。また、次世代を担う経営者人財の育成のためのプログラムも展開しています。
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2025年度目標 |
---|---|---|---|
Erhoeht-X®従事人財数※ | 5,664名 | 5,941名 | 6,000名 |
- ※
- 「 Erhoeht-X®(エルヘートクロス)」とは、TOPPANグループが全社を挙げ、社会や企業のデジタル革新を支援するとともに、当社自体のデジタル変革を推進するコンセプトです
- ※
- 集計の見直しに伴い2023年度の数値を修正しました
ダイバーシティ&インクルージョンの推進
違いを変革の原動力に変えていくダイバーシティ&インクルージョンを重要視し、女性活躍や性の多様性に関する取り組みを推進するとともに、従業員の仕事と育児、介護の両立を支援する施策を実施しています。
【ジェンダー格差の解消】
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2025年度目標 |
---|---|---|---|
管理職に占める女性管理職比率※ | 12.3% | 12.9% | 14.7% |
- ※
- TOPPANグループ全体(海外含む)
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2030年度目標 | ||
---|---|---|---|---|---|
男女別 管理・監督職者比率※1 |
女性0.81:男性1.00 | 女性0.79:男性1.00 | 男女間の 格差をなくす |
||
男性社員の 育児休業取得率※2 |
88.6% | 88.8% | 80.0% | ||
10年在籍率の 男女別割合※3 |
女性:男性 1.00:1.00 |
2012年度入社 女性0.86:男性1.00 |
女性:男性 1.04:1.00 |
2013年度入社 女性0.95:男性1.00 |
男女差を なくす |
2013年度入社 女性0.95:男性1.00 |
2014年度入社 女性1.24:男性1.00 |
||||
2014年度入社 女性1.24:男性1.00 |
2015年度入社 女性0.97:男性1.00 |
- ※1
- 2024年度実績は、TOPPAN株式会社において2025年3月末現在在籍する2006年~2015年の定期採用者のうち管理・監督職者の割合から算出、男性管理・監督職者比率を1とした場合の男女の管理・監督職者比率の差異
- ※2
- 2024年度実績は、TOPPAN株式会社において2024年度(2024年4月~2025年3月)に子が生まれた男性社員を分母、当該年度に育児休業を取得した男性社員を分子として算出(公表義務化の法令に合わせた取得率の算出方法)
- ※3
- 2024年度実績は、TOPPAN株式会社において2013年~2015年度定期採用者(高専卒・大卒・院卒)の、それぞれ入社10年後在籍率の平均を算出、男性在籍率を1とした場合の男女の在籍率の差異
【仕事と育児の両立支援】
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2030年度目標 |
---|---|---|---|
はぐくみアートサロン参加率※ | 13.6% | 30.7% | 45.0% |
はぐくみセミナー管理職受講率※ | 75.1% | 97.0% | 100% |
はぐくみサークル参加率※ | 9.3% | 12.3% | 10.0% |
- ※
- TOPPAN株式会社単体
従業員のWell-being
多彩な能力・キャリアをもつ人財を活用するため、TOPPAN版ジョブ型人事処遇制度を導入し、企業価値向上と従業員のモチベーションを一致させる新たな制度設計を進めています。また、従業員や家族の健康づくりや、従業員一人ひとりの心と身体のコンディション向上のための各種プログラムを実施しています。
【従業員エンゲージメント】
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2025年度目標 |
---|---|---|---|
エンゲージメントスコア※(2021年度比) | 0.3pt向上 | 0.4pt向上 | 対象をグローバルに拡大するにあたり見直し中 |
健康リスク値※(2021年度比) | 1.0pt改善 | 2.0pt改善 | 6.0pt改善 |
コンディション危険判定※(2021年度比) | 2.2pt改善 | 0.0pt改善 | 4.0pt改善 |
- ※
- 国内の連結TOPPANグループ各社
【重症化予防】
評価指標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2030年度目標 | ||
---|---|---|---|---|---|
従業員 | 重症化リスク※ | 肥満リスク | 28.0% | 28.7% | 20.0% |
高血圧リスク | 10.8% | 10.7% | 8.0% | ||
糖尿病リスク | 10.3% | 10.8% | 8.0% | ||
脂質リスク | 28.7% | 29.0% | 28.0% | ||
検診※ | 婦人科検診受診率 | 78.7% | 74.9% | 75.0% | |
家族 | 検診※ | 家族特定検診受診率 | 83.5% | 83.8% | 95.0% |
- ※
- TOPPAN株式会社単体
戦略
- Topic
- ● 「温室効果ガス削減に貢献するサービス」 の事例
- ● 「地域に最適化された住民サービスを展開する自治体」の事例
- ● 「生活を豊かにするサービス」の事例
- ● 「健康に貢献するサービス」の事例
- ● 「Scope1+2における温室効果ガス削減」の事例
- ● 「取水量削減目標設定」の事例
- ● 「管理職に占める女性管理職比率」の事例
- エンゲージメント
- ● 基本的な考え方
- ● 活動実績
- ● ステークホルダーエンゲージメント