更新日:2026年9月30日

※ 第三者保証対象指標には を付しています

基本的な考え方

TOPPANグループは、グローバルで展開する当社の事業活動が、自然資本※に依存、かつ影響を与えていること、また気候変動や生物多様性※など自然環境の変化がグループ全体に与える影響が大きいことを認識しています。

※
「自然資本」とは、動物、植物、水、土壌、大気等から構成されており、生態系サービスを通じて企業や社会に便益をもたらす自然の資産のことです。「生物多様性」とは、自然資本の一部であり、動植物の多様性のことです。この多様性は、洪水や干ばつといった自然災害の予防と自然災害からの回復力を高め、炭素循環、水循環、土壌形成を支えることで、自然資本を健全かつ安定に保つ役割があり、水資源や土壌とも深くかかわっています。このページでは「生物多様性」という言葉に「自然資本」の意味を含めて表現しています

「TOPPANグループ地球環境宣言」に掲げた「持続可能な社会の実現」を具体的に進めるため、2024年度に「TOPPANグループ環境方針」を制定し、取り組むべき環境課題、コミットメント、そして実現するための仕組み・取り組み、の3要素を示しており、本方針に基づき、環境課題の解決を通じて企業価値の向上と持続可能な社会の実現に努めています。

併せて、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)など国際イニシアチブにいち早く対応してきました。
気候関連課題と自然関連課題※への取り組みには統合的なアプローチが必要であるとの考えから、2026年度の本サステナビリティデータブックの改訂においてはバリューチェーン分析を深化させるとともに、最新の外部環境動向を反映し、さらに高度化しました。リスクへの対応策や事業機会の検討においても、気候変動の緩和・適応と自然関連の課題解決の同時達成を実現する対応策を講じています。

※
「自然関連課題」を、生物多様性を中心とした自然資本全般にかかる課題を意味する用語として、「気候関連課題」とともに使用しています

本サステナビリティデータブックの作成にあたっては、TCFD提言とTNFD提言の開示推奨項目を参照し、全ての項目において情報開示に努めました。 具体的には、両提言の一般要件に沿って以下の通り検討しました。

1) マテリアリティ

TOPPANグループは、2031年度の目指す姿「True Value Transformation」の実現に向けて、9つのマテリアリティ(重要課題)を定義し、この9つをさらに「価値を届ける」「人を活かす」「信頼を高める」「未来を護る」という4つの枠組みで整理し、サステナビリティを事業経営の中核へと位置付けています。
特に、「未来を護る」ではマテリアリティ「気候変動対応及び資源循環・自然共生への貢献」に向けて、事業基盤とビジネスの両面で取り組んでいます。

2) 開示スコープ

TOPPANグループでは、バリューチェーン全体(上流、直接操業、下流)を評価と開示の対象としています。直接操業では、自社全拠点であるグローバル168拠点、全事業を対象とし、サプライチェーンにおいては、主要事業である情報ソリューション事業へのインパクトが強い原材料(木材調達)におけるリスク・機会の把握を優先的に検討していきます。また、下流(プラスチックの回収・廃棄)については、TOPPANグループのプラスチック容器包装の主要な製造・販売拠点である7カ国を対象として分析しました。
TOPPANグループは、グローバル生物多様性フレームワーク(GBF)ターゲット15に準拠し、生物多様性にかかるリスク、生物多様性への依存およびインパクトを定期的にモニタリング・評価し、透明性をもって開示することを目指しています。

3) 他のサステナビリティ関連の開示の統合

気候関連課題と自然関連課題とはお互いに影響を及ぼし合う関係であると認識しています。今回、TCFDと統合した形で開示を行っていますが、「ガバナンス」の「生物多様性におけるステークホルダー・ エンゲージメント」は自然関連課題固有の記載として、また「戦略」「指標と目標」については、気候関連課題と自然関連課題を統合的に整理しつつも、各提言において推奨されているアプローチに沿って記載しています。

4) 考慮する対象期間

TOPPANグループの事業活動計画である年度計画(短期・1年以内)、中期計画(中期・2~3年)、長期ビジョン(長期・4年以上)に気候変動関連課題・自然関連課題に対する目標を設定しています。

5) 先住民族、地域社会と影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント

TOPPANグループは地域住民や先住民族の人々へのエンゲージメントの重要性を認識し、全てのステークホルダーからの苦情やご指摘について、苦情処理メカニズムに従って対処する枠組みを構築しています。
各種団体・コンソーシアムへの参画により、自然関連課題を巡る外部動向やステークホルダーの声を収集し、課題の設定・整理や実際の生物多様性保全活動に活かしています。年次の統合レポートやサステナビリティデータブック等において、様々なステークホルダーに対して情報を開示しています。

6) 来期以降の取り組み

TCFDにおいては、グローバルにおけるリスク・機会評価およびシナリオ分析のさらなる高度化を進めるとともに、今後は経営戦略や事業戦略との連動性を高めるために、気候移行計画への統合を図っていきます。
TNFDにおいては、上流の木材調達以外の依存・インパクト評価対象についても検討を進めるとともに、調達先とのエンゲージメントやモニタリングを通じて自然関連リスク管理の実効性向上に取り組みます。
加えて、気候関連課題、自然関連課題、人権や地域社会への影響など、社会的課題は相互に関連するとの認識のもと、社会関連財務情報開示を含む国際的な議論・動向を継続的にモニタリングし、将来的な開示の拡充・統合の可能性について検討を進めます。

ガバナンス

A. 依存・インパクト、リスクおよび機会に関する取締役会の監督について

1) 組織的な取り組みと取締役会の責任

TOPPANグループは、中期経営計画2028において、目指す姿「True Value Transformation」に向けたマテリアリティ(重要課題)の枠組みのひとつとして「未来を護る」を設定し、気候変動および資源循環・自然共生の貢献のために、ガバナンスを強化しています。取締役会は、気候・自然関連課題を経営戦略における重要課題のひとつと認識し、気候変動のリスク・機会は事業成長のための成長投資として考慮しています。
気候変動を含むサステナビリティ課題についての具体的な取り組み施策については、サステナビリティ推進委員会(以下、サステナ推進委員会)において検討・審議されています。サステナビリティ委員会(以下、サステナ委員会)は、サステナ推進委員会における活動内容や進捗状況について監督を行うとともに、その内容について取締役会へ報告しています。また、サステナ推進委員会で審議された重要事項は経営会議へ報告され、経営判断に反映されています。
取締役会は、サステナ委員会からの報告および経営会議での議論内容を踏まえ、気候関連課題を経営戦略上の重要課題のひとつと認識し、取り組みの目標設定や進捗状況について議論・モニタリング・監督を行っています。
また、取締役会は、自然関連課題についても経営戦略上の重要課題のひとつと認識しており、今後も気候関連課題と同様に、サステナ推進委員会において検討・審議された活動内容について、サステナ委員会による監督および経営会議での議論を踏まえながら、取り組みの目標設定や進捗状況について議論・モニタリング・監督していきます。

TOPPANホールディングスのサステナビリティ推進体制。取締役会等の監督下でサステナビリティ委員会がリスクマネジメント体制と連携し、マテリアリティ推進PJと事業会社を統括する構造。

2) 取締役会が報告を受けるプロセスと頻度

取締役会は毎年4月に、「TOPPANグループ環境ビジョン2050」達成に向けて設定された「TOPPANグループ2030年度中長期環境目標」における「温室効果ガス排出量」「生物多様性の保全」「資源循環型社会への貢献」「水の最適利用」の前年度実績および当該年度の単年度目標について報告を受け、承認を行っています。また、気候・自然関連課題についての重要なリスク・機会と取り組みの進捗についての評価や状況についての報告を受けるとともに、気候・自然関連の課題を考慮し、経営戦略の策定などについて総合的な意思決定を行っています。さらに、気候・自然関連課題に関する新しい規制や制度などが公表された場合は、サステナ委員会・経営会議を通じて報告を受け、対応についてサステナ委員会・取締役会にて議論・決議を行っています。

B. 依存・インパクト、リスクおよび機会を評価・管理する上での経営者の役割

取締役会は、サステナ委員会(委員長:代表取締役社長)に気候・自然関連課題を含むサステナビリティ課題の監督を担わせ、その活動を監督しています。サステナ委員会は、サステナ推進委員会(委員長:COO)における活動内容および進捗状況を監督するとともに、その結果を取締役会へ報告しています。
サステナ推進委員会は、TOPPANホールディングスの主管部門およびグループ会社事業部門が参画するマテリアリティ推進プロジェクト(以下、マテリアリティ推進PJ)を設置し、サステナビリティ課題への対応を推進しています。マテリアリティ推進PJは、【全社基盤型】としてKPI推進WG、サステナビリティ情報基盤構築WG、【テーマ特化型】として統合型_移行計画WG、サステナブル調達ガイドラインWGの4つのワーキンググループで構成されており、気候・自然・人的資本関連課題を含むマテリアリティ全般への対応を推進しています。
各WGは相互に連携しながら、サステナビリティに関する課題への取り組みを進めています。特に統合型_移行計画WGは、気候・自然・人的資本関連課題を統合的に捉えたリスク・機会の評価および対応方針の検討を担い、他のWGと連携しながら事業計画・事業活動との連動を目指した取り組みを推進しています。
取締役会は、サステナ委員会からの報告および経営会議での議論内容を踏まえ、気候・自然関連課題に関する評価や状況、目標管理について報告を受けるとともに、これらの課題を考慮した経営戦略の策定などについて総合的な意思決定を行っています。
また、将来的なサステナビリティ課題について意見交換を行う場として、サステナ委員会を通じて、気候・自然・人的資本関連課題といったサステナビリティ課題全般について、外部有識者と取締役が議論・検討を行います。

C. 生物多様性におけるステークホルダー・エンゲージメント

1) 人権に対する考え方

人権は、事業活動やサステナビリティの取り組みを推進するにあたり、最も重要なテーマだと考えています。TOPPANグループは、「人間尊重」の精神を基本に事業活動を行っており、この基本精神をもとに、2021年10月に「TOPPANグループ人権方針」を策定しました。また、「TOPPANグループ地球環境宣言」「TOPPANグループ環境方針」「生物多様性に関する基本方針」に基づき環境保全活動を行うなど、事業活動が地域の人々の生活に悪影響を与えることによって人権侵害が発生しないように配慮した取り組みを推進しています。

2) 人権デューデリジェンス

TOPPANグループは、「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持するとともに、人権デューデリジェンスの重要性を認識しています。
2021年10月に「TOPPANグループ人権方針」を策定し、業界における人権リスクの洗い出しと評価を行い、5つの人権リスクを特定しました。2022年度、2023年度、そして2025年度に、特定した5つの人権リスクを中心に、TOPPANグループのステークホルダーへの調査・ヒアリングを実施。調査・分析結果については、サステナ委員会に報告し、今後の取り組みについて議論を行っています。
自然関連項目(土壌汚染、水質汚濁等)についても、バリューチェーン全体(上流、直接操業、下流)の周辺コミュニティに関連する人権リスク(周辺住民の健康、先住民の権利等)を特定しています。

3) エンゲージメントプロセス

TOPPANグループは、地域住民や先住民族の人々へのエンゲージメントの重要性も認識しています。事業活動のために土地を取得、利用などする際には、現地の法規制を遵守することはもちろん、影響を受ける地域住民や先住民族の人々の理解を得ることを重視しています。また、自然関連課題の把握、対応において、バリューチェーン全体(上流、直接操業、下流)の幅広いステークホルダーの声を聴くことが重要と認識しており、TNFDフォーラム、環境省「30by30アライアンス」をはじめ、各種団体・コンソーシアムに参画しています。参画により、生物多様性を巡る外部動向やステークホルダーの声を収集し、TOPPANグループの自然関連課題評価に向けたLEAPアプローチにつなげるとともに、事業所緑地の利用や近隣地域の保全、修復活動など、実際の対策にも活かしています。

戦略

A. TOPPANグループの環境価値相関

TOPPANグループのバリューチェーン全体(上流、直接操業、下流)における自然資本との依存・インパクトについて、以下の通り整理しています。
主力事業のひとつである情報系印刷やパッケージの製造において、紙への依存度が高く、原材料となる森林資源(木材)への依存が高いと想定しています。また、情報ソリューション、生活・産業、エレクトロニクスの各事業分野における地下水の使用が多く、依存・インパクトともに高いと想定しています。さらに、製造過程のみならず、使用後のプラスチック包装資材、販促物の河川・海洋等自然への流出による生物多様性へのインパクトも想定しています。事業全般において、気候変動対策と企業の持続可能性との両立は重要な課題であり、GHG排出についても重要なインパクトと考えています。

TOPPANグループの環境価値相関図
バリューチェーン上流(自然資本・インプット)から企業活動を経て、下流(アウトプット)に至り、脱炭素社会への貢献など4つの環境課題へ貢献する全体像。さらに、そこから再び自然資本への貢献・依存低減を図るサイクルが示されている。

B. 優先度の高いリスク・機会と対応策の一覧

気候変動についてはTCFDのシナリオ分析、自然関連課題についてはTNFDのLEAP分析の結果を踏まえて優先度の高いリスク・機会を導出し、財務インパクトの評価および対応策の検討を行いました。

気候関連課題を含む自然関連課題におけるリスク・機会一覧

機会

シナリオ リスク分類 ドライバー/ハザード 事業への影響 関連事業 リスク/機会 依存/影響 気候 自然 時間軸 財務インパクト 主な対応策
物理 急性 異常気象の激甚化 災害・洪水・浸水リスク増加に伴う生産機会・工場資産の損失 全事業 リスク 影響 ○ - 中期 大 ・長期的想定の代替生産計画の継続検討、浸水防止技術の定期的な情報収集と対応
災害・洪水・浸水リスク増加に伴う化学物質の外部流出 全事業 リスク 影響 ○ ○ 中期 小 ・化学物質の流出可能性の検討と流出防止策の計画、実施
遠隔監視・予兆保全サービスの売上拡大 情報系/新事業 機会 - ○ - 中期 中 ・製造業、施設管理業、インフラ関連事業等に対して、遠隔計測による点検業務の省人化・効率化等の価値提供を見据えたZETAなどの通信関連商材の適用拡大の検討
森林生態系の変化 気候変動を一因とする生態系の破壊や急速な劣化による調達量減少に伴う売上額減少、調達先見直し等による調達コスト増 情報系/生活産業系 リスク 依存 - ○ 短期 - ・原紙調達先サプライヤーへの調査およびサプライヤーエンゲージメントの強化
慢性 降水・気象パターンの変化 水調達リスク・使用制限による製造や出荷の遅延、停止による売上減 全事業 リスク 依存 ○ ○ 長期 小 ・全社的な水使用量の削減目標の設定および削減施策の検討
製造時に水への依存の大きい原材料の調達コスト増 全事業 リスク 依存 ○ ○ 長期 - ・水リスク(水ストレス)の高いサプライヤーの特定およびサプライヤーエンゲージメントの強化
気温上昇に伴う食品ロス・衛生ニーズの高まり 製品のロングライフ化に資する包装材の売上拡大 生活産業系 機会 - ○ ○ 長期 大 ・消費財・食品系の顧客に対して品質の維持、賞味期限の延長などの価値を提供する自社製品による食品ロス削減貢献量の把握と可視化、ブランド価値への訴求
・ISO等の国際規格への働きかけ、リサイクル関連法規制・制度・規格の整備に向けた展開、国政府・国際イニシアティブへの働きかけ・ルールメイキングへの関与
移行 政策 炭素税の導入・引き上げ 炭素税の導入による操業コスト増 全事業 リスク 影響 ○ - 中期 大 ・「TOPPANグループ環境ビジョン2050」に向けた中長期環境目標2030のScope1+2のGHG排出量削減活用
・長期的視点の制度・再エネ新技術等のモニタリング
クリーンエネルギー比率の上昇 電力単価の上昇に伴う操業コスト増 全事業 リスク 影響 ○ - 中期 中 ・「TOPPANグループ環境ビジョン2050」に向けた中長期環境目標2030のScope1+2のGHG排出量削減活用
・長期的視点の制度・再エネ新技術等のモニタリング
クリーンエネルギーに関連する市場拡大に伴う対象商材の売上拡大 新事業 機会 影響 ○ - 長期 中 ・燃料電池/水素関連機器メーカー等に対し、燃料電池/水電解装置の開発の加速を水素の生成から運搬・使用までの全ての領域において貢献する高性能な燃料電池部材等の開発強化、生産拠点拡大に向けた投資
容器の軽量・減量化、容器排出抑制・廃棄削減要請の高まり サステナブルな原材料価格の上昇や代替素材への切り替えに伴う調達コスト増 生活産業系 リスク 影響 ○ ○ 中期 中 ・サステナブル原材料の市場モニタリングの継続実施および調達戦略構築の検討
リサイクル可能なモノマテリアル容器・フィルムの売上拡大 生活産業系 機会 影響 ○ ○ 長期 大 ・包装関連の顧客に対し、環境配慮型パッケージを起点として脱炭素と資源循環の高度化・実装を提供するため政策主導で需要が見込まれる市場への展開拡大
・リサイクル関連法規制・制度・規格の整備に向けた展開国政府・国際イニシアティブへの働きかけ・ルールメイキングへの関与
REACH規則等での有害化学物質指定を拡大する動き 化学物質管理規制の強化に対応するコストの増大 全事業 リスク 影響 - ○ 短期 - ・規制動向の注視
・原材料の切替検討
都市緑地等のグリーンインフラの促進 都市の緑化コンサルティングサービスの売上拡大 情報系/生活産業系 機会 依存/影響 ○ ○ 長期 - ・デベロッパー等の顧客に対し、空間体験価値向上に貢献する緑化コンサルティングを展開するための官民連携プラットフォームの活用等による事業機会の探索、パートナー企業候補検討、資金調達​
開示規制等に伴うサプライチェーンの排出量把握・脱炭素化への要請の高まり CO₂削減量可視化ソリューションの売上拡大 全事業 機会 影響 ○ - 長期 小 ・包装を使用する企業に対して省人化効果を創出する精緻なScope3原単位データ&クラウドサービスや、物流セクターに向けた輸配送効率化提案による省エネ効果の提供に向けた既存ソリューションの高度化検討
市場 原材料価格の上昇(価格転嫁) サプライヤーの炭素税・電力単価上昇に伴う紙・ガラスなどの非石化由来原料の調達コスト増 全事業 リスク 影響 ○ - 中期 大 ・サプライヤーの調査/新規開拓
・代替品の調査/検討
・長期的視点の制度・市場のモニタリング
電動化、自動化、通信の高度化およびそれに伴う生成AIの需要拡大 電力変換効率の向上につながる半導体の売上拡大 新事業/エレクトロニクス系 機会 影響 ○ - 長期 大 ・AI・データセンター事業者に対し、消費電力効率・熱管理・高密度実装の改善効果の創出拡大に向けてFC-BGAおよび次世代半導体パッケージについて開発を推進
食品ロスに対する消費者意識の高まりや食糧不足の深刻化 小売業・外食業向けフードロス削減に資するダイナミックプライシングソリューションの売上拡大 情報系/生活産業系 機会 影響 - ○ 中期 - ・小売業や外食業の顧客に対し、ロス削減と供給レジリエンス向上効果創出を目指し、外食業向け実証実験を踏まえた、小売業向け拡販のオポチュニティの検証
評判・賠償責任 新興国の経済成長、ステークホルダーの懸念の増大 新興国の海洋プラスチック汚染の深刻化に伴い、包装材メーカーとして対応が不十分であることに対するNGO等の批判への対応コスト増 生活産業系 リスク 影響 - ○ 短期 - ・自社工場所在国および製品展開先国における廃棄物処理方法の把握・対応
ステークホルダーの懸念の増大 生物多様性上重要なエリア周辺からの木材調達に関して、NGO等から指摘されることによる対応コスト増 情報系/ 生活産業系 リスク 影響 - ○ 短期 ー ・用紙調達先サプライヤーへの調査およびサプライヤーエンゲージメントの強化​
流域の生物多様性保護の要請の高まり 流域の生物多様性保護への対応不足や廃水の排出基準違反を理由とした操業停止命令による売上減/賠償責任に伴うコスト増 全事業 リスク 影響 - ○ 短期 小 ・全拠点の実態把握および廃水処理の見直し・強化​
環境・人権デューデリジェンス対応への外部要求の高まり、ステークホルダーの懸念の増大 先住民族や地域コミュニティの土地や資源を棄損した場合の賠償責任に伴うコスト増 全事業 リスク 影響 - ○ 短期 小 ・全直接操業拠点における先住民族・地域コミュニティとの接点の有無の把握・対応
※
移行リスク・機会:1.5℃および4℃シナリオにおいて IEA World Energy Outlook 2023のNZE(Net Zero Emissions by 2050:ネットゼロシナリオ)、およびSTEPS(公表政策シナリオ)/APS(表明公約シナリオ)により評価
※
物理リスク・機会:1.5℃および 4℃シナリオにおいて IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が採用する RCP(代表濃度経路シナリオ)(1.5℃ : RCP1.9、RCP2.6、4.0℃ : RCP8.5、RCP7.0)により評価
※
リスクおよび機会の時間軸については、短期1年以内、中期2~3年、長期4年以上として、TOPPANグループの事業活動計画である年度計画、中期計画、長期ビジョンの時間軸との整合を図り、気候関連課題・自然関連課題におけるリスクと機会について関係部門による検討を行っています
※
財務インパクト:小10億円未満、中10億円~ 100億円、大100億円以上
※
2025年度開示においては「難再生古紙や廃材など廃棄物由来のバイオエタノール需要の拡大」を機会として挙げていましたが、最新の事業状況を踏まえ今年度開示では削除しました

C. 気候変動に関するシナリオ分析、ビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

1) 組織が識別した、短期・中期・長期の気候関連のリスクおよび機会

① 組織に重要な財務的影響を与えるリスクおよび機会を特定するプロセス

TOPPANグループは、シナリオ分析実施に際してサステナ推進委員会下部のマテリアリティ推進PJ下部に統合型_移行計画WGを設置。本WGに関連部門およびグループ会社が参画し、気候変動に関する重要リスク・重要機会の洗い出し、財務面のインパクト評価、その評価に基づいた対応策検討を行っており、関連部門・グループ会社の事業戦略担当メンバーが参画しています。シナリオ分析の検討を各グループ会社の中期計画と連動させ、より具体的なビジネスを想定した財務インパクトの評価と対応策の検討を行いました。シナリオ分析は、日本国内拠点および海外拠点を対象に、研究開発から調達、生産、製品供給までのバリューチェーンに対して、1.5℃シナリオ、4℃シナリオで、2050年までの長期想定で考察しました。

② 財務影響の大きい気候関連課題

1.5℃シナリオでは、炭素税導入や購入エネルギー価格上昇に伴うコスト増のリスクがある一方、消費者選好の変化による低炭素排出製品・サービスの売上増や企業価値向上の機会があることを再確認しています。
4℃シナリオでは、気温上昇による風水害増加が、TOPPANグループの事業を支える主要工場の操業停止などのリスクにつながる可能性を確認していますが、長期想定の代替生産計画の継続検討、浸水防止技術の定期的な情報収集・施策化などの対応策を進めています。

2) 気候関連のリスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

① 組織のビジネスと戦略に対する影響の検討

TOPPANグループは「True Value Transformation」の実現に向け、気候関連のリスクと機会も踏まえ、事業の「市場成長性」と「投資効率性」の観点から、「重点的成長事業」「戦略的注力事業」「安定的拡大事業」「改善・転換事業」の4象限を定義し、事業ポートフォリオ変革を進めています。「TOPPANグループ環境ビジョン2050」が目指すネットゼロ社会実現へのさらなる貢献に向け、中期経営計画の3カ年では、事業投資および重点的成長事業・戦略的注力事業への設備投資に、3,350億円を計画しています。

② 複数の気候関連シナリオに基づく検討を踏まえた組織の戦略のレジリエンス

シナリオ分析の実施にあたっては、「国際エネルギー機関(IEA※1) World Energy Outlook 2025(以下 IEA WEO 2025)NZE※2シナリオ」「IEA WEO 2025のSTEPS※3」「気候変動に関する政府間パネル(IPCC※4)第6次報告書における共有社会経済経路(SSP)シナリオと放射強制力(RCP)を組み合わせた複数シナリオ」を利用し、定性的・ 定量的の両方で分析を行っています。対象期間は2030年から2050年としています。

シナリオタイプ

1.5℃ 4℃
移行シナリオ IEA NZE 2050 IEA STEPSもしくはAPS
物理シナリオ RCP 1.9 RCP 7.0
RCP 2.6 RCP 8.5
※1
IEA:International Energy Agency
※2
NZE:Net Zero Emissions by 2050
※3
STEPS:The Stated Policies Scenario
※4
IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change
③ 移行リスクおよび物理リスクへの適応計画

シナリオ分析の結果、TOPPANグループの移行リスクとして、世界全体におけるカーボンニュートラル実現に向けたカーボンプライシング制度の規制拡大を背景に、運用コスト負担の増加などを認識しました。またグループが認識する物理的リスクでは、生産事業所の洪水などの浸水被害による生産停止や復旧費用の増加等が挙げられます。
その対応として、再生可能エネルギーの段階的な導入等によるScope1+2およびScope3での温室効果ガス排出量削減、防災対策の強化などに取り組んでいきます。Scope1+2およびScope3の温室効果ガス排出量削減については、2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画を策定しています。
将来を見据え長期的視野でのScope1、2、3を対象とした低炭素投資や対策の意思決定にICP(インターナルカーボンプライシング)制度を活用し、さらなる省エネ・再エネ設備の導入を推進していきます。
このような変化に対し、中期経営計画2028の重点施策のひとつである事業ポートフォリオ変革の取り組みと連動させ、事業機会の創出・拡大を図ります。具体的には、サプライチェーンの温室効果ガス排出量削減に貢献するDX支援サービスの開発、リサイクル適性の向上や食品ロスの削減ができるサステナブルパッケージの充実化、省人化や設備の稼働最適化に貢献する遠隔監視・予兆保全サービスの展開拡大、クリーンエネルギー普及を支える水素関連部材の開発強化、AI・デジタル社会の省電力化に資する次世代半導体パッケージの開発・生産能力の強化を図っていきます。TOPPANグループは今後も、継続的にシナリオ分析を実施することでその精度を高め、経営戦略への統合をさらに推し進め、不確実な将来に向けたレジリエンス(強靭さ)を高めていきます。

ICP制度概要

制度導入の目的 エネルギー効率化の推進
低炭素投資の推進
意思決定における環境関連事項考慮の促進
気候関連目標の達成
制度がカバーするGHGのScope Scope1,2,3
価格の種類 シャドープライス
価格 180USドル/t-CO2
制度の適用範囲 設備投資等における意思決定プロセス

D. 自然資本・生物多様性の依存・インパクト分析(LEAP分析)実施概要および分析結果

1) LEAP分析の実施概要

① 分析の概要

2024年にLEAP分析を実施しており、サプライチェーン上流(木材調達)・直接操業を対象に自然への依存・インパクト、リスク・機会に関するLEAPアプローチ※1におけるL、Eを実施しました。2025年の分析では分析対象を下流(プラスチック回収・廃棄)まで拡大するとともに、LEAPアプローチの全プロセスを実施しました。今回は、新たに47地域の上流(木材調達)の拠点を分析対象に加え、新規拠点に対してLEAPアプローチの全プロセスを実施し、更新しました。なお、同アプローチの各プロセスで使用したツールはいずれもTNFDが推奨するものです。

※1
LEAPアプローチ:TNFDが開発した、事業における自然との接点や自然との依存関係、インパクト、リスク、機会など自然関連課題を評価するための統合的なアプローチ。「Locate:発見」「Evaluate:診断」「Assess:評価」「Prepare:準備」というプロセスで構成
② Locateの分析手法

Locateのプロセスでは、TOPPANグループのサプライチェーンを俯瞰して各拠点(上流:245拠点、直接操業:125拠点)の自然との接点を調べ、「事業上の重要性の観点」と「生態学的な繊細性の観点」から対応を優先すべき拠点を特定しました。

優先拠点特定の考え方

分析対象拠点区分の概念図

事業上重要な拠点と生態学的に繊細なエリアに位置する拠点の重なりを示すベン図。両方に該当する拠点をA、いずれか一方をBまたはC、対象外をDとし、A,B,Cを優先拠点としている。

優先拠点の判定基準

優先拠点区分 判定基準(例) 優先度
A 事業上重要かつ生態学的に繊細なエリアに位置する拠点 B・Cともに該当 高
B 事業上重要な拠点1 インパクト・依存の程度が大きく、事業上の重要性が高い(L-2 ENCORE評価結果×事業重要性評価) 中
C 生態学的に繊細なエリアに位置する拠点2 生態学的な繊細度が高い(L-4評価結果) 中
D 非該当 A・B・Cのいずれにも非該当 低
1:
ENCORE結果に基づき、自然へのインパクト/依存が大きい拠点を対象として「事業上重要な拠点」を選定する
上流拠点:
ENCOREによる評価項目の1つ以上が非常に高いもしくは評価が高い項目数が全拠点の平均以上、かつ取引する製紙メーカー数が多いもしくは認証未取得メーカーが存在している拠点を選定しました
直接操業拠点:
ENCOREによる評価項目の1つ以上が非常に高いもしくは評価が高い項目数が全拠点の平均以上、かつ全体の取引金額に占める拠点割合が1.5%以上もしくは、代替困難性があると考えられる拠点であることを基本的な判定基準として、実態を踏まえて選定しました
2:
生態学的に繊細なエリアに位置する拠点については、各拠点が位置する生態系の繊細さを、ENCOREやWWF Biodiversity/Water Risk Filter等を用いて、5要件(①生物多様性の重要性、②生態系の高い完全性、③生態系の完全性の急速な減少、④生態系サービスの提供重要性、⑤物理的な水リスク)を5段階のスコア(1~5)で評価し、5要件のうち、「5.非常に高い」が1つ以上もしくは「5.非常に高い」・「4.高い」の件数が平均以上となる拠点を選出しました
③ Evaluateの分析手法

上流・直接操業については、地理情報システム(GIS)を活用して各拠点の緯度経度を地図上に特定しました。そこに自然関連リスク分析ツールであるENCORE※2(最新版)やWWF Biodiversity/Water Risk Filter※3等の生態系・環境リスクマップを重ね合わせ、各拠点における自然関連リスクの深堀分析・評価を実施しました。また、下流については、TOPPANグループのプラスチック包装材の主要な製造・販売拠点のある7カ国を対象として、その国の一般的な制度下で廃棄されることによる自然へのインパクトを定性的に評価しました。

※2
ENCORE:Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure の略。自然資本分野の国際金融業界団体Natural Capital Finance Alliance他が開発した自然関連リスク分析ツール
※3
WWF Biodiversity/Water Risk Filter:世界自然保護基金が開発した世界の地域ごと、サプライチェーン段階ごとの生物多様性・水リスクを特定する分析ツール
④ Assessの分析手法

外部環境分析(STEEPフレームワークを使用)およびバリューチェーン全体(上流・直接操業・下流)のLocate & Evaluate分析を通じて、TOPPANグループの自然関連課題に関するリスク(15件)・機 会(32件)を導出し、TCFDとして抽出されたリスク・機会と統合しました。さらに、シナリオ分析において2つのシナリオを構築した上で、 現状の取り組みとのギャップ分析を実施し、定性的な評価基準に基づき対応優先度の高いリスクと機会を特定しました。その上で、定量化ロジックの構築が可能なリスクと機会については、財務インパクト評価を実施しました。

⑤ Prepare(対応策)の検討

Assessの結果特定した優先度の高いリスクと機会について、対応策を検討しました。

2) 上流(木材調達)のLocate & Evaluate分析結果

① 分析対象拠点

前回は、生態学的に繊細なエリアに位置する地域を特定し、事業上の重要な地域も考慮して優先地域の候補を15件抽出し、この中で調達国が異なり、製紙メーカー数が多く、生態学的繊細さのスコアが高い5拠点を分析対象拠点として選定しました。今回は、新たに分析対象に加わった47地域に関して、同様に生態学的に繊細なエリアに位置する地域を特定後、事業上の重要な地域の5拠点を優先地域として抽出し、分析を行いました。

② 上流(木材調達)におけるENCORE評価結果

事業分野を「造林その他の林業活動」・「伐採業」としてENCOREを用いてインパクト/依存を分析しました。
その結果、当該事業は生物資源(木材)を利用する経済活動であることから、インパクト:7項目、依存:13項目でHigh以上の結果となりました。

インパクト項目

No インパクト項目 評価
1 騒音・光害等 H
2 大気汚染物質 VH
3 生物資源採取 VH
4 有害な土壌/水質汚染 H
5 土壌/水質の栄養素汚染 H
6 陸域利用 VH
7 外来種持ち込み H

依存項目

No 依存項目 評価
1 バイオマス供給 VH
2 土壌と土砂の維持 VH
3 ろ過 VH
4 土壌の質 VH
5 生物学的制御 H
6 空気の清浄 H
7 洪水緩和サービス H
8 遺伝物質 VH
9 地球規模の気候調節 VH
10 水供給 H
11 個体群育成/生息地維持 H
12 地域的な気候調節 VH
13 降雨パターンの調節 VH
※
凡例:VH:Very high、H:High、M:Medium、L:Low、VL:Very low(ENCORE の重要度評価に基づく)
③ 上流(木材調達)のEvaluate分析結果

分析対象10拠点に関して、木材調達の視点から、Locate分析の結果をもとに拠点周辺の自然の特徴を踏まえたインパクトと依存について評価を実施しました。
その結果、アラバマ州(アメリカ)、マウレ州(チリ)、クアンニン省(ベトナム)、リアウ州(インドネシア)、ヴェストライェータランド県(スウェーデン)、サタクンタ県(フィンランド)で自然へのインパクトや依存する自然の喪失・急速な劣化が確認され、今後調達量や調達先の変更などが必要になる可能性があり、調達コストが増加するリスクがあることがわかりました。
また、リアウ州(インドネシア)からの木材調達は自然へのインパクトによる評判リスクも懸念されることがわかりました。これまでTOPPANグループの環境方針に則り、「用紙原料調達における合法性の確認比率100%」を実践していますが、今回の評価を踏まえて「気候変動を一因とする財務リスク(生態系の破壊や急速な劣化による木材調達量減少に伴う売上額減少/調達先見直し等によるコスト増加、生物多様性上重要なエリア周辺からの木材調達に関して、NGO等から指摘されることによる対応コスト増加」に対しても対応策を検討していきます。

3) 直接操業のLocate & Evaluate分析結果

① 分析対象拠点

生態学的に繊細なエリアに位置する地域を特定し、事業上の重要な地域も考慮して優先地域を30件ほど抽出し、事業上・地域上の特色を有する8拠点を分析対象拠点として選定しました。

分析対象拠点一覧(上流・直接操業の、事業上重要かつ生態学的に繊細と判定された拠点)
特定された優先拠点(A、B、C※)の所在地
優先拠点A,B,Cの所在地を色別に示す世界地図。各拠点が世界各地に点在する様子を視覚化し、特に重要な深掘分析対象拠点は赤い印を付している。各拠点の詳細は隣接する表に整理されている。

上流(木材調達)の分析対象拠点

No 調達地域(州・省レベル) 調達国
① アラバマ州 アメリカ
② タスマニア州 オーストラリア
③ マウレ州 チリ
④ ミナスジェライス州 ブラジル
⑤ クアンニン省 ベトナム
⑥ リアウ州 インドネシア
⑦ ヴェストライェータランド県 スウェーデン
⑧ カンペーンペット県  タイ
⑨ ワイカト地方  ニュージーランド
⑩ サタクンタ県  フィンランド

直接操業の分析対象拠点

No 拠点名 事業系 選定理由
❶ TOPPANパッケージプロダクツ 群馬センター 生活・産業系 包材製造拠点のマザー工場
❷ TOPPAN建装プロダクツ 幸手工場 生活・産業系 日本国内唯一の建装材工場
❸ TOPPANパッケージプロダクツ 水戸工場 生活・産業系 日本国内で集約された紙器工場
❹ PT. TOPPAN PLASINDO LESTARI 生活・産業系 インドネシアの軟包装材工場
❺ TOPPAN Speciality Films Pvt. Ltd. 生活・産業系 インドの軟包装材工場
❻ INTERPRINT, Inc. 生活・産業系 アメリカの建装材工場
❼ TOPPANエレクトロニクスプロダクツ
新潟工場
エレクトロニクス系 国内唯一のFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)サブストレート※の工場
❽ ADVANCED SUBSTRATE
TECHNOLOGIES PTE. LTD.
エレクトロニクス系 FC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)サブストレート※製造拡充のための海外新工場(シンガポール)
※
FC-BGA サブストレート:LSI チップの高速化、多機能化を可能にする高密度半導体パッケージ基板のこと
② 直接操業拠点のENCORE評価結果

情報ソリューション系、生活・産業系、エレクトロニクス系を対象として、ENCOREを用いて自然へのインパクトと依存を分析しました。
インパクトに関しては、事業系共通で「有害な土壌/水質汚染物質排出」がHigh以上となり、生活・産業系では「GHG以外の大気汚染物質排出」「土壌/水質の栄養素汚染」「固形廃棄物の発生と放出」がHigh以上となりました。
また、依存に関しては、情報ソリューション系と生活・産業系で「水供給」「水流調整」が高く、生活・産業系では「ろ過」が高いという評価結果となりました。

インパクト項目の評価結果

インパクト項目の評価結果
GHG以外の大気汚染物質排出 有害な土壌/水質汚染物質排出 土壌/水質の栄養素汚染 固形廃棄物の発生と放出
事業区分 情報ソリューション系 L H - L
生活・産業系 H VH H H
エレクトロニクス系 L VH - L

依存項目の評価結果

依存項目の評価結果
ろ過 水供給 水流調整
事業区分 情報ソリューション系 M H H
生活・産業系 H H H
エレクトロニクス系 M M M
※
凡例:VH:Very high、H:High、M:Medium、L:Low、VL:Very low、ENCOREとして学術的なエビデンスが足りず評価できない項目(ENCOREの重要度評価に基づく)
③ 直接操業拠点の深堀分析結果

分析対象8拠点:生活・産業系(6拠点)、エレクトロニクス系(2拠点)に関して、生態系サービスの情報も踏まえた拠点ごとのインパクト・依存の要因を特定した上で、現状の取り組み状況とのギャップ分析を実施の上、拠点ごとに重要度評価項目を検証しました。
その結果、生活・産業系に関しては、High以上と評価した4項目について、対策は一定講じられているものの、拠点によっては取り組み度合いが異なり、特に海外拠点では水質汚染と水への依存関連へのリスク対策の強化が必要であることがわかりました。
また、エレクトロニクス系に関しては、有害な土壌・水質汚染への潜在的なインパクトのみが特定されたものの、いずれの拠点も大型の排水処理施設を設置済み、もしくは設置を予定しているため、 Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)によるインパクトを軽減できていることを確認しました。

TOPPANパッケージプロダクツ(TPP)群馬センター工場(日本)

事業および生態学的特徴

TPP群馬センター工場は群馬県邑楽郡明和町に位置する全社の包材生産拠点のマザー工場で、仕入れたフィルムへの印刷、複数フィルムの貼り合わせ、裁断・製袋工程を実施しています。
本工場からの排水は直接流入しないものの、下流域20km以内にはラムサール条約湿地の渡良瀬遊水地(①)が存在しています。また、本工場は過去に洪水被害が多発している利根川の近傍に位置しており、水質汚染の水リスクがあることを確認しています。

インパクト・依存評価結果

本工場におけるENCOREの評価結果に関して、事業、周辺地域の生態学的特徴を考慮し、当該拠点での具体的なリスク対策を棚卸して想定される自然へのインパクト・依存について分析を行いました。
その結果、製造工程からクロムメッキの潜在的な流出インパクトはあるものの、廃液の全量回収を実施する等の流出対策が施されており、リスク低減が十分に実施されていることを確認しています。一方、同地域は洪水リスクが高いため、引き続き十分な洪水対策が必要であることも確認しています。

赤の円形が評価対象範囲(20km)

4) 下流(自社製品展開先国)のLocate & Evaluate分析手法および結果

① 分析手法および結果概要

TOPPANグループのプラスチック包装材の主要な製造・販売拠点のある7カ国を対象として、その国の一般的な制度下で廃棄されることによる自然へのインパクトを定性的に評価しました。
分析の結果、展開先国/地域によってリサイクルインフラの整備状況および廃プラスチックの再資源化率が大きく異なり、サステナブルパッケージの展開先市場の検討において考慮が必要であることがわかりました。

※
下流拠点所在地:イギリス、中国、日本、ブラジル、インド、インドネシア、米国
② 事例:インドネシア国内の企業・家庭からの廃棄物の分析結果

TOPPANグループの包材工場が2拠点あり、新工場も稼働予定であるインドネシアでは、廃棄物の過半数が一般家庭による焼却や投棄で処理されている状況を確認しました。一方、近年は個人に対する金銭的なインセンティブのある回収スキームが普及し始めており、一部の地域ではリサイクルが促進されていることを確認しました。

種別 処分方法 重量内訳
(万t)
想定されるインパクト
一般/産業廃棄物 リサイクル 68 10% 現状、リサイクルされている廃プラスチックのほとんどは非正規の小規模廃棄物回収業者(個人含む)によって回収されている
近年、インドネシア政府がリサイクルシステムの構築等による2040年までの廃プラスチック量の大幅削減を目指しているほか、民間企業による家庭の資源ごみの買い取りやリサイクル業者に引き渡す「ごみ銀行」等のスキームが一部形成されている
埋立 136 20% 廃プラスチックの大半は家庭や収集システムで分別されず、他の家庭廃棄物とともに直接埋立地に運ばれているため、土壌汚染、ならびに埋立地から地下水や周辺の水域への流出による水質汚染を引き起こしている
投棄 61 9%
焼却 320 47% 廃プラスチックの半数近くが一般家庭で誤った方法で焼却され、有毒ガス排出、重金属排出、水質汚染を引き起こしている
現在、インドネシアには大規模な焼却施設や廃棄物発電施設がない(建設計画中)
不法投棄 34 5% 不法投棄による汚染は、土壌汚染以外にも排水システムを詰まらせることで洪水の一因にもなりえる
海、湖、川への流出 61 9% 投棄された廃プラスチックの一部が海や湖に流出したり、漁具も海に直接捨てられており、こうした海洋プラスチックごみが無脊椎動物や魚類の成長、健康、繁殖力、生存、摂餌に悪影響を及ぼしている

5) Assess:シナリオ分析、リスク・機会の特定、財務インパクト評価

① Assess分析の全体像

外部環境分析(STEEPフレームワーク※1を使用)およびLEAPアプローチのLocate & Evaluate分析を通じて、TOPPANグループの自然関連課題に関するリスク(15件)・機会(32件)を導出し、TCFDとして抽出されたリスク・機会と統合しました。
さらに、シナリオ分析により絞り込んだ2つの象限でシナリオを構築した上で、現状の取り組みとのギャップ分析を実施し、定性的な評価基準に基づき対応優先度の高いリスクと機会を特定しました。その上で、定量化ロジックの構築が可能なリスクと機会については、財務インパクト評価を実施しました。

※1
マクロ環境分析のためのフレームワーク。Society(社会)、Technology(技術)、 Economics(経済)、Environment(環境)、Politics(政治)の5つの観点で外部環境を整理
②シナリオ分析

シナリオ分析では、TNFDが推奨する2つの不確実性から構成される4象限のシナリオのうち、シナリオⅠを「持続可能なシステムが回る世界(1.5℃シナリオへ進む世界)」、シナリオⅢを「社会的機運が高まらず、自然劣化が進む世界(4℃シナリオへ進む世界)」として、物理リスク・移行リスク発現のカギとなる前提要素ならびに前提要素を左右する定性/定量指標を設定し、2030年を想定して探索的にシナリオを構築しました。なお、物理リスクに関するシナリオについてはTCFDのシナリオ分析結果※2を前提とし、可能な限り統合を図りました。

※2
「C. 気候変動に関するシナリオ分析、ビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響」にて詳細開示
シナリオ分析、シナリオ構築のアプローチ
上を市場と非市場の一致、下を不一致、左を自然維持、右を自然劣化とする4象限から左上のシナリオ1と右下のシナリオ3を抽出。これらに対し、物理リスクは環境、移行リスクは技術、社会、規制と政治、経済に細分化しシナリオを構築する図。
③ リスク・機会の優先度評価の手法および結果
  • リスクの優先度評価基準と結果
    リスクについては「影響度」と「発生可能性」の2軸で2つのシナリオごとに評価を実施しました。
    シナリオⅠ・Ⅲの評価のうちいずれか高い方を総合評価として集計し、影響度・発生可能性の両方またはいずれかにおいてMedium以上と評価されたリスク9件を優先度の高いリスクとして特定しました。

リスクの優先度評価結果

優先度の高いリスク

影響度 発生可能性
① 気候変動を一因とする生態系の破壊や急速な劣化による木材調達量減少に伴う売上額減少/調達先見直し等によるコスト増 M H
② 災害・洪水・浸水リスク増加に伴う生産機会・工場資産の損失 L L
③ 災害・洪水・浸水リスク増加に伴う化学物質の外部流出 L L
④ 水調達リスク・使用制限による製造や出荷の遅延/停止による売上減 M L
⑤ 製造時に水への依存の大きい原材料の調達コスト増 L M
⑥ サステナブルな原材料価格の上昇や代替素材への切り替えに伴う調達コスト増 M H
⑦ プラスチック容器・包装材の需要低下に伴う売上減 L L
⑧ 化学物質管理規制の強化に対応するコストの増大 L M
⑨ 環境負荷や消費エネルギーの少ない製品・サービスの需要の高まりや廃棄削減、廃棄/再生時の環境負荷低減要請への対応コストの増大 L L
⑩ 環境・人権DDや開示への対応不足による従業員のエンゲージメント低下、人材流出・採用コスト増 L L
⑪ 環境・人権DDや開示への対応不足による株価下落、投資対象からの除外による資金調達難 L L
⑫ 新興国の海洋プラスチック汚染の深刻化に伴い、包装材メーカーとして対応が不十分であることに対するNGO等の批判への対応コスト増 M M
⑬ 流域の生物多様性保護への対応不足や廃水の排出基準違反を理由とした操業停止命令による売上減/賠償責任に伴うコスト増 M L
⑭ 先住民族や地域コミュニティの土地や資源を棄損した場合の賠償責任に伴うコスト増 M L
⑮ 生物多様性上重要なエリア周辺からの木材調達に関して、NGO等から指摘されることによる対応コスト増 M M
定義:
影響度:「事業への影響の大きさ」「影響を軽減する既存取組み/BCP の有無」
発生可能性:「自社における 2030 年時点での顕在化有無」「発生を回避する既存取組の有無」
※
ともに3つの基準(「High」「Medium」「Low」)を用いて評価
  • 機会の優先度評価基準と結果:
    機会については2025年度開示において「市場の魅力度」と「自社の優位性」の2軸で2つのシナリオごとに評価結果をスコアリングし、総合スコア上位8件の機会を優先度の高い機会として特定しました。
    2026年度開示では、2025年度開示にて整理した機会を現在の事業環境を踏まえ更新し、財務インパクト算定についてもより詳細に検討を行いました。
優先度の高い機会 評価結果
# 機会項目 市場の魅力度 自社の優位性
1 遠隔監視・予兆保全サービスの売上拡大 H H
2 CO₂削減量可視化ソリューションの売上拡大 H H
3 電力変換効率の向上につながる半導体の売上拡大 H H
4 小売業・外食業向けフードロス削減に資するダイナミックプライシングソリューションの売上拡大 H H
5 クリーンエネルギーに関連する市場拡大に伴う対象商材の売上拡大 H M
6 製品のロングライフ化に資する包装材の売上拡大 M H
7 リサイクル可能なモノマテリアル容器・フィルムの売上拡大 M M
8 都市の緑化コンサルティングサービスの売上拡大 M M

市場の魅力度:2030年のグローバル・国内市場の規模および市場成長率

  • High:市場規模が1兆円以上かつ市場成長率が8%以上
  • Middle:市場規模が1兆円以上もしくは市場成長率が8%以上
  • Low:市場規模が1兆円未満かつ市場成長率が8%未満

自社の優位性:技術・知財・設備的優位性および顧客基盤(パートナー含む)の有無

  • High:技術・知財・設備的優位性があり、かつ強い顧客基盤がある
  • Middle:技術・知財・設備的優位性がある、もしくは強い顧客基盤がある
  • Low:技術・知財・設備的優位性がなく、強い顧客基盤もない

6) Prepare: 対応策の検討

Assessの結果特定した優先度の高いリスクと機会について、対応策を検討しました。

① 機会の考え方
  • 事業機会としてのネイチャーポジティブ
    世界経済フォーラムは、ネイチャーポジティブへの経済の移行に伴い、 2030年に世界で10兆ドルの市場機会が創出されると試算しています※1。
    Nature4Climate(米国の気候変動イニシアチブ)は、自然関連の技術開発に取り組むスタートアップへのプレシード、シード、アーリーステージの合計投資額は、2020〜2022年の間で倍以上に増加と算出しています※2。
※1
出典:World Economic Forum, “The Future of Nature and Business”
※2
出典:Nature4Climate, “The state of nature tech: Building confidence in a growing market“
  • TOPPANグループの貢献可能性
    TOPPANグループの目指す姿「True Value Transformation」のもと、9つのマテリアリティの推進を通じた社会課題解決に取り組んでいます。特に「気候変動対応及び資源循環・自然共生への貢献」においては、環境配慮型プロダクトやバリューチェーンの透明性を高めるDXソリューション等の展開を加速させます。自社の環境負荷低減にとどまらず、顧客やパートナーとの協働を通じて、社会全体の自然課題解決およびネイチャーポジティブの実現に貢献します。

TOPPANグループ事業機会のユースケース・関連事例

① サステナブルパッケージの展開拡大
昨今、欧州をはじめとする先進国では、リサイクル可能な包装の設計要件や、プラスチック包装の最低リサイクル含有率の設定などの規制・政策の強化がみられるほか、ミレニアル・Z世代を中心にサステナビリティ消費志向が高まる傾向にあります。
TOPPANグループはこういった政策・社会動向を捉え、パッケージの最適化設計や持続可能な資源の利用を行うことで、製品の環境負荷低減とお客さまの事業の成長を両立させる環境配慮型パッケージを提供しています。例えば、複合素材で構成されているパッケージを単一素材化したモノマテリアルバリアパッケージにより、リサイクル適性の向上を図っています。また、原料の調達においては、リサイクル材を使用した製品(メカニカルリサイクルPETフィルムやリサイクルポリエチレンフィルム等)を開発・上市することで、資源を有効活用するとともに、CO₂排出量の削減に努めています。
今後は、欧州等政策主導で需要が見込まれる市場への環境配慮型パッケージの展開を加速させるとともに、パッケージの回収・再生などのリサイクルスキーム構築の取り組みを進め、持続可能な循環型社会の実現に貢献します。

② サプライチェーン全体の脱炭素化を支援するシステム「みんなのカーボンオフセット™」
日本だけでなく世界各国において、パリ協定で掲げた「2050年のカーボンニュートラル」を目指し、各企業が様々な施策を講じて炭素排出量の削減に取り組んでいます。しかし自助努力だけでの目標達成は困難であり、どうしても削減できない部分を他の場所の削減・吸収量で埋め合わせる「カーボン・オフセット」のニーズが高まっています。同時に、環境をはじめESGの課題はサプライチェーン全体で取り組むことが必須となっており、その対応に従事する人材やノウハウ不足が課題となっています。サプライチェーン全体での脱炭素化という大きな社会課題に対して、TOPPANエッジ(現TOPPAN株式会社)は株式会社ウェイストボックスと共同で、サプライチェーン全体のカーボン・オフセット支援サービス「みんなのカーボンオフセット™」を開発・提供しています。
本サービスは、取引先・投融資先などに対してオフセット枠を提供できる「販売店機能」、オフセット枠の調達から証書の発行までをオンライン上で完結して行える「ユーザー機能」を実装しており、導入企業は負担少なく、カーボン・オフセットの取り組み、オフセット枠提供先の排出量や取り組み状況も把握が可能となります。本サービスの提供を通じて2社は協働して、サプライチェーン全体での脱炭素化の裾野を広げていくことを目指しています。

「みんなのカーボンオフセット」の全体構成図。供給者からのクレジットをシステムで管理し、直接ユーザー企業へオフセット枠を提供するルートと、販売店を介して提供・管理する2つの流通ルートを示している。

リスク管理

A. 組織が気候・自然関連リスクを識別・評価するプロセス

気候・自然関連リスクの識別・評価は、統合型_移行計画WGが担当しています。
TOPPANグループのバリューチェーン全体(上流、直接操業、下流)での事業活動および提供する製品、サービスに対する現行規制、新規規制、技術、法制、市場、評判、急激または緩慢な物理変化といったリスクタイプから識別しています。それらの識別されたリスクタイプから想定されるリスクと機会を、研究開発から調達・生産・製品供給までの上流・下流を含むバリューチェーン全体において抽出し、短期(1年以内)・中期(2~3年)・長期(4年以上)の時間軸で評価しています。
また、自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の識別・評価は、 気候関連リスクと同様に識別・定性評価し、財務インパクトの算出ならびに対応策の検討を行っています。

B. 組織が気候・自然関連リスクを管理するプロセス

影響評価を踏まえた気候・自然関連リスクの対応計画の策定・推進は、統合型_移行計画WGが担当しています。
影響評価にあたっては、財務的な観点から重要性を判断しています。評価および対応計画はそれぞれ、サステナ委員会に報告・検討された上で、取締役会が報告を受け、気候関連リスクの管理および管理プロセスの監督を行っています。

C. 総合的リスク管理における気候・自然関連リスクを識別・評価・管理するプロセスの位置付け

TOPPANグループの気候変動を含むサステナビリティ課題についてのリスク管理は、取締役会の管理のもと、サステナ推進委員会、リスクマネジメント推進委員会が密接に連携して推進する総合的なリスク管理に組み込まれています。
TOPPANグループは、グループが関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」について、外部環境の変化や新たに高まったリスクの中長期視点での顕在化の可能性、発生頻度やインパクトの強弱等を踏まえて、毎年見直し、選定しています。
選定においては、気候変動、自然資本にかかる環境課題への対応を含むサステナビリティ経営推進の観点からも十分に検討されています。選定プロセスについては、リスク管理統括部門となるGRC本部が各リスク管理責任部門と協議の上、見直しを行い、取締役に報告され、承認を得ています。
TOPPANグループのリスク管理(評価、対応計画の策定および進捗管理)については、第一線と第二線が連携する体制のもと行われていますが、環境関連リスクの管理についてはサステナ推進委員会および下部の統合型_移行計画WGがその役割を担い、その対応状況はリスクマネジメント推進委員会にも報告します。
リスクマネジメント推進委員会は、サステナビリティリスクを含むグループ全体で取り組むべきリスクに関する課題を明確にした上で、内在するリスクや対策を討議・モニタリングします。取締役会メンバー全員で構成されるリスクマネジメント委員会は、リスクマネジメント推進委員会に対するけん制機能を有するほか、独立した位置付けとして取締役会と連携を取り、取締役会は総合的な意思決定を行っています。
自然関連リスクについても、気候関連リスクと同様のリスク管理プロセスが構築されています。

指標と目標

A. 気候変動における指標・目標

気候関連リスクにおいては、「Scope1+2およびScope3排出量」「使用電力における再生可能電力の比率」を指標に設定しています。気候関連機会においては、環境配慮型プロダクトやバリューチェーンの透明性を高めるDXソリューションの創出を含め、マテリアリティと紐づけたSDGsに関連した各種指標と目標の設定を進めています。
取締役の業績連動型の賞与については、財務指標に加えてCO₂排出量削減目標も評価指標に組み入れられており、気候関連の考慮事項への経営者の役割を明確にしています。
「TOPPANグループ2050年長期環境目標」「TOPPANグループ 2030年度中長期環境目標」について、Scope1+2、Scope3それぞれの温室効果ガス排出削減目標について、SBT認定を受けています。

B. 自然関連における指標・目標

TOPPANグループでは、2030年度中長期環境目標を設定し、自然関連課題においてもその達成に向けて、バリューチェーン全体(上流、 直接操業、下流)を対象に活動を進めています。

気候関連課題を含む自然関連課題における指標と目標一覧

TOPPANグループ環境課題 関連するTCFD推奨開示指標/TNFDグローバルコア指標 目標達成の設定年度 目標値 実績 今後の対策
<脱炭素社会への貢献>
Scope1+2 および3における温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す
温室効果ガス排出 Scope1+2 2030年度 2017年度比54.6%削減(再エネ比率25%) 2017年度比42.5%削減(再エネ比率8.3%) 省エネ施策の推進、低炭素電力や再生可能エネルギーの調達
温室効果ガス排出 Scope1+2 2050年度 排出実質ゼロ グループ内物流会社のEV化、低炭素物流会社の採用
CO₂回収事業への投資や緑地拡大による吸収
温室効果ガス排出 Scope3 2030年度 2017年度比54.6%削減 2017年度比16.1%削減 低炭素材の積極的な採用
温室効果ガス排出 Scope3 2050年度 排出実質ゼロ 燃料の転換やカーボンフリー燃料の利用
CO₂貯蔵技術やCO₂の再利用等で吸収
成長事業の営業利益構成比率 2025年度 51% 51% 次年度、目標設定を含め検討
温室効果ガス削減に貢献するサービス数 2025年度 60 63 次年度、目標設定を含め検討
温室効果ガス削減に貢献するサービス数 2030年度 80 次年度、目標設定を含め検討
<生物多様性の保全>
豊かな自然の保全と社会経済活動が両立する自然共生社会を目指す
土地/淡水/海水の利用
①現時点で管理する総面積
②事業により改変した総面積(土地、淡水、海)
③修復、復元された総面積(土地、淡水、海)
2030年度 社内外の自然共生地域への貢献
(TOPPAN株式会社の製造拠点の面積の10%相当)
①TOPPAN株式会社の製造拠点面積:2,302千㎡
②―
③修復、復元された総面積:自主的:131千㎡(5.7%)
①グループ・海外拠点のデータ取得
②地歴情報の収集・整理
③NPOとの連携拡大
資源の利用/補充
高リスク天然物質の調達量(木材)
2025年度 用紙原料の調達における合法性確認を2025年度100% TOPPANグループの用紙原料の調達における合法性確認100%(購入重量換算)
森林認証紙調達量:279,849t
国別の調達量把握
持続可能な管理計画、認証制度のもとで調達される量の把握
<資源循環型社会への貢献>
廃棄物のゼロエミッションを目指す
汚染/汚染除去
①土壌汚染物質の排出量
②排水量と排水中の汚染物質の排出量
③有害・非有害廃棄物の発生量、処理量
④GHG以外の大気汚染物質排出量
2030年度 ①―(未設定)
②―(未設定)
③廃棄物最終埋立量:2017年度比 60%削減
廃プラスチックのマテリアルリサイクル率:
2017年度比 9%pt増
④―(未設定)
① 0t
②総排水量:6,441千㎥ 、BOD負荷量7,362kg 、COD負荷量:1,721kg 、
窒素排出量:7,181kg 、燐排出量:542kg
③有害廃棄物排出量:22,549t(うちマテリアルリサイクル量16,382t、
熱回収量3,546t、単純焼却量728t、埋立量1,893t、その他0t)
非有害廃棄物排出量:254,542t(うちマテリアルリサイクル量213,393t、熱回収量37,204t、単純焼却量556t、埋立量3,389t、その他0t)
④VOC大気排出量:3,900t(国内)
窒素酸化物 82t
硫黄酸化物 200kg
①漏洩事故の未然防止
②流域での集計検討
③海外拠点の集計精度向上
④海外拠点も対象としてデータ収集・整理
使用または販売されたプラスチック(ポリマー、耐久財、包装材)の総重量(トン)を原材料含有量に分けて測定した総フットプリント
プラスチック包装材の場合、以下に該当するプラスチックの割合(%)
・再利用可能
・堆肥化可能
・技術的にはリサイクル可能
・実務的にも規模的にもリサイクル可能
2030年度 ―(未設定) ―(今後に調査、集計の予定) 自社調達分、得意先支給材に含まれる場合の調査
自然に対して実証可能なプラスのインパクトをもたらす製品およびサービスからの収益増加とその割合、ならびにそのインパクトについての説明
①全売上に占めるSX重点テーマの売上比率(サステナブル包装材)
②サステナブルパッケージの売上比率
2030年度 ①―(未設定)
②100%
①―(今後に調査、集計の予定)
②47%
次年度、目標設定を含め検討
期限付きで定量化可能なターゲットの割合
①バリア技術を核とした包材のモノマテリアル化比率
②包材・販促資材のリサイクルスキーム確立に向けたPoC件数
③賞味期限延長に貢献するパッケージの食品総重量
2030年度 ①国内:30%、海外:50%
②120件
③40万トン
①国内:12%、海外:29%
②91件
③27万トン
次年度、目標設定を含め検討
<水の最適利用>
最適な水利用の実現と水質汚染防止による水質改善に貢献する
資源の利用/補充
①総取水量と消費量
②水不足地域からの取水量と消費量
③削減/再利用/補給に貢献した水の量
2030年度 ①―(未設定)
②水リスクの高い(水ストレス40%超)拠点の取水量削減目標:達成拠点数50%以上(4拠点)
③―(未設定)
①総取水量:7,968千㎥ 、総消費量:1,535千㎥
取水量内訳: 地表水:16千㎥ 、地下水:5,345千㎥ 、海水:0千㎥ 、第三者の水:2,607千㎥
②取水量:415千㎥
③循環利用量:1,727千㎥
①次年度、目標設定を含め検討
②未達成の対象拠点における取水量削減
③次年度、目標設定を含め検討
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その他のグローバルコア指標、追加指標につきましても、順次検討していきます
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「ー」:現状、未設定もしくは検討中というステータスを示しています
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TOPPAN Packaging Americas Holdings Inc.の2025年度実績は含みません
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第三者保証対象指標には を付しています