基本的な考え方

TOPPANグループは、グローバルで展開する当社の事業活動が、自然資本に依存、かつ影響を与えていること、また気候変動や生物多様性など自然環境の変化がグループ全体に与える影響が大きいことを認識しています。
「TOPPANグループ地球環境宣言」に掲げた「持続可能な社会の実現」を具体的に進めるため、2024年度に「TOPPANグループ環境方針」を制定し、取り組むべき環境課題、コミットメント、そして実現するための仕組み・取り組み、の3要素を示しており、本方針に基づき、環境課題の解決を通じて企業価値の向上と持続可能な社会の実現に努めています。
併せて、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)など国際イニシアチブにいち早く対応してきました。
気候変動課題と自然関連課題への取り組みには統合的なアプローチが必要であるとの考えから、2025年度のサステナビリティレポートの改定においてはバリューチェーン分析を深化させるとともに、統合レベルをさらに高度化しました。リスクへの対応策や事業機会の検討においても、各サステナビリティテーマを単独に捉えるのではなく、施策間のトレードオン/トレードオフを考慮し、気候変動の緩和・適応と自然関連の課題解決の同時達成を実現する対応策を講じています。
サステナビリティレポートの作成にあたっては、TCFD提言とTNFD提言の開示推奨項目を参照し、全ての項目において情報開示に努めました。具体的には、両提言の一般要件に沿って以下の通り検討しました。

1)マテリアリティ

TOPPANグループは、長期的に目指す姿「Digital & Sustainable Transformation」の実現に向けて、事業活動と全社活動それぞれのマテリアリティ(重要課題)を定義しており、本マテリアリティはSDGs貢献の観点でも検討しています。
良き企業市民を目指して企業活動全体で取り組む課題を「全社活動マテリアリティ」、事業活動を通じて重点的に取り組むべき課題を「事業活動マテリアリティ」とし、それぞれで環境課題を選定して事業基盤とビジネスの両面で取り組んでいます。

2)開示スコープ

TOPPANグループでは、バリューチェーン全体(上流、直接操業、下流)を評価と開示の対象としています。直接操業では、自社全拠点であるグローバル168拠点、全事業を対象とし、サプライチェーンにおいては、主要事業である情報コミュニケーション事業へのインパクトが強い原材料(木材調達)におけるリスク・機会の把握を優先的に検討していきます。また、下流(プラスチックの回収・廃棄)については、TOPPANグループのプラ包装材の主要な製造・販売拠点である7カ国を対象として分析しました。
TOPPANグループは、グローバル生物多様性フレームワーク(GBF)ターゲット15に準拠し、生物多様性にかかるリスク、生物多様性への依存およびインパクトを定期的にモニタリング・評価し、透明性をもって開示することを目指しています。

3)他のサステナビリティ関連の開示の統合

気候関連課題と自然関連課題とはお互いに影響を及ぼし合う関係であると認識しています。今回、TCFDと統合した形で開示を行っていますが、「ガバナンス」の「生物多様性におけるステークホルダー・エンゲージメント」は自然関連課題固有の記載として、また「戦略」「指標と目標」については、気候関連課題と自然関連課題を統合的に整理しつつも、各提言において推奨されているアプローチに沿って記載しています。

4)考慮する対象期間

TOPPANグループの事業活動計画である年度計画(短期・1年以内)、中期計画(中期・2~3年)、長期ビジョン(長期・4~30年以上)に気候変動関連課題・自然関連課題に対する目標を設定しています。

5)先住民族、地域社会と影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント

人権は、事業活動やサステナビリティの取り組みを推進するにあたり、最も重要なテーマと考えています。TOPPANグループは地域住民や先住民族の人々へのエンゲージメントの重要性を認識し、全てのステークホルダーからの苦情やご指摘について、苦情処理メカニズムに従って対処する枠組みを構築しています。
各種団体・コンソーシアムへの参画により、自然関連課題を巡る外部動向やステークホルダーの声を収集し、課題の設定・整理や実際の生物多様性保全活動に活かしています。年次の統合レポートやサステナビリティレポート等において、様々なステークホルダーに対して情報を開示しています。

6)来期以降の取り組み

TCFDでグローバルにおけるリスクシナリオの見直しを実施すると同時に、TNFDでは上流の木材調達以外の要素も検討スコープに加えるなど、開示項目の充実と精緻化を進めます。
また、2025年度中に公表予定の「TNFD自然移行計画ガイドライン」に沿った対応への検討を進めるなど、TNFDにおける開示項目のさらなる強化と、アーリーアダプターとして開示の完遂を目指します。

「自然資本」とは、動物、植物、水、土壌、大気等から構成されており、生態系サービスを通じて企業や社会に便益をもたらす自然の資産のことです。「生物多様性」とは、自然資本の一部であり、動植物の多様性のことです。この多様性は、洪水や干ばつといった自然災害の予防と自然災害からの回復力を高め、炭素循環、水循環、土壌形成を支えることで、自然資本を健全かつ安定に保つ役割があり、水資源や土壌とも深くかかわっています。このページでは「生物多様性」という言葉に「自然資本」の意味を含めて表現しています。また「自然関連課題」を、生物多様性を中心とした自然資本全般にかかる課題を意味する用語として、「気候関連課題」とともに使用しています
TCFD/TNFD提言に沿った情報開示

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ガバナンス
A. 依存・インパクト、リスクおよび機会に関する取締役会の監督について
B. 依存・インパクト、リスクおよび機会を評価・管理する上での経営者の役割
C. 生物多様性におけるステークホルダー・エンゲージメント
戦略
A. TOPPAN グループの環境価値相関
B. 優先度の高いリスク機会と対応策の一覧
C. 気候変動に関するシナリオ分析、ビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響
D. 自然資本・生物多様性の依存・インパクト分析(LEAP分析)実施概要および分析結果
リスク管理
A. 組織が気候・自然関連リスクを識別・評価するプロセス
B. 組織が気候・自然関連リスクを管理するプロセス
C. 総合的リスク管理における気候・自然関連リスクを識別・評価・管理するプロセスの位置付け
指標と目標
A. 気候変動における指標・目標
B. 自然関連における指標・目標